無断外出する人への支援



「無断外出」という言葉があります。
よくよく考えたら、この言葉も変な言葉だなあと
思いますね。

自分が行きたいところに行くのに、
許可を取らないといけないということです。
そして、今日かが出たら、外出できるということです。

これは、よほどの信用がない限り、
家でも施設でも、でしょうね。

もちろん、学校に行くとか、施設に行くなどの場合は、
行くことに許可はいらないと思いますが、
遊びに行きたい、買い物に行きたいなどの場合、
許可が必要となってくるということですね。

「問題行動」も「無断外出」も、
主権を握っているのは、支援者か・・・と思った次第です。

さて、この「無断外出」。

彼らは今を生きる人ですから、
今、したいことは、今したい。

そのためなら、
何とか、いろいろな規制を
かいくぐってでも、
今いきたくなってしまいます。

もちろん、
「行きたい」と言っても、
「だめ!」と言われるのが、
通常パターンでしょう。

否定されることで、
「無断外出」に拍車がかかります。

私は、過去に無断外出をしていた利用者が、
無断ではなく、外出できるように支援をしました。

一番反対をしたのは、彼らのお母さんです。
泣いて拒否をされました。

でも、私も一生懸命お願いをして、
無断ではなく、許可済み状態で
外出をさせていただきました。

無断で外出するのと、
許可を得て外出することの
明らかな違いは、

穏やかな出発

そして、

安心して帰ることができること

です。

必死になって逃げるように出かけることは、
けがをしたりすることにもつながりますし、
帰ってくるときに
怒られるのではないかという心理が働いて、
帰りにくくなります。
そこから、本当の意味での
行方不明になることだってあり得ます。

でも、許可を得た状態ですと、
例えばGPS機能の携帯電話を持たせてみたり、
お金や連絡先なども持たせられたり、
にこやかに送り出していただければ、
行っていいのだという安心感で、
帰ってくることにも
何のためらいもない状態になります。

もちろん、
悪いことをしているイメージがないので、
本当に困った時に警察などに
SOSもできやすくなります。

ですから、
万が一の迷子になった時のための連絡先などを
身に着けて出したほうが、リスクも少ないし、
自立の一歩となるでしょう。

さて、そんな感じで
実際に「許可あり外出」をさせていただいた
利用者の方がたは、
最初の1~2回は、
思ったような時間に帰ってきませんでしたが、
その後は順調に帰りが早くなり、
毎週のお出かけが恒例となり、
ご家族との関係も良好になりました。

いつも喧嘩ばかりしていた親子が、
穏やかに笑っていられるのは、
一番の効果でしたね。

そして、いつ抜け出そうかと
考えなくてよくなったので、
施設での作業をきちんとやれるようになり、
職員とも敵対ではなくなりましたので、
こちらも穏やかな状態になりました。

かれらが出かけるのには、
彼らの理由があります。
私たちだって、
趣味のために出かけることもありますよね。
それと同じです。

理由があって行動する。
それは、誰でも同じです。

なんで出かけたいのかな?
そう思って、伺っていくと、
彼らの理由があります。

だから、外出させてほしいと思います。
一人が難しいなら、ヘルパーさんとですね。

無断で外出されてしまうリスクを
減らしていきたいものです!

実際にどんな事例があったのかを
お話ししましたのでこちらをお聞きください。

彼らの人生の主人公はやっぱり彼らでいてほしいなぁと、
そんなことを思います。

支援方法を全く変えることは、
支援者にとってこわいことです。

成功する確証がないからです。
私も実際、親御さんにお願いするときに
戻ってくる確証もなく、お願いしています。

そして出した結果です。
参考にしていただければと思います。