生活保護者のニーズにこそ、施設でも支援を



生活保護が支給され、
生活をしている人は、
施設利用者の中にもいます。

施設が就労系や作業所系の場合、
工賃を得て、ある一定額以上になると、
収入となり、
生活保護費が減る計算になります。

この時、利用者の人によっては、
生活保護費が減額されるので、
作業をしませんという選択をする人がいるようですね。

働くことができないのではなく、
保護費がもらえなくなるからという理由で
作業しないという人については、
この考え方は、
良くないと思っています。

この手の考えの人は、
もらえるものは何でももらおうとしていて、
自分の生活のことばかりで、
どこからこのお金が創り出されているのかも
知らないかもしれません。

何か損をした気分になり、
それなら働かないと決めますので、
生活保護から脱することは
できにくいでしょう。

これでは、生活保護費の
考え方にそぐわないのです。

ただご本人にとっては、
生活保護でも困っていないのだと思います。

さて、うちの利用者には、
税金が投入されている話や、
働ける時期は働くことや
自分の稼ぎによって、
生活保護費が減額になることは
うれしいことだといった話を
開所当時からしていたからか、
減額されそうだから休むという「調整」はせずに、
いつも通りの作業をし続けています。

さらに、1円でも多く稼ごうと、
施設全体がそういう風潮なので、
手を抜くとか、だらだらやるということもせず、
順調な仕事ぶりです。

生活保護課が、
いろいろご本人にも話していると思いますが、
ここはやはり、日ごろから、生活保護の人だけでなく、
全体的にも、
作業をする意味や
お金を多く稼ごうといったことや、
働くことを楽しんでもらいつつ、
人によっては、社会の中で、
必要とされていることなども、
話しながら、
進めていくべきだと思います。

生活保護費は、どういう役割なのか、
保護費をもらっている人で、働ける人は、
どうしていくことを求められているのか、
自分の生活に他者の税金も投入されていることなど、
一人ひとりにわかりやすく、
説明していきましょう。

そのうえで、
やはり、お金のやりくりは、
重要ですね。

生活保護だから持っているお金が
少ないと思いがちですが、
年金だけで生活している人もいますし、
私たちも含めて、共通しているのは、
今あるお金の中でやりくりをすることです。

ですから、やりくりは、
生活保護者だけに関わることではありません。

生活に必要なものだけではなく、
買いたいものがあれば、やりくりをして
買うことができるようになることです。

今あるお金で将来も見越しながら、
やりくりをすれば、
贅沢もできますし、
趣味もお金を使えますし、
どこで引き締め、
どこを緩めるかであって、
総額の問題ではありません。

ただ、やりくりは、
最初、ひとりでは難しいかもしれませんので、
彼らのできることを見つつ、
支援を入れていくことになります。

このように
生活保護をもらっている人が、
施設に通っている場合は、
職員が、
生活保護費に関連した
情報を得て、
支援をしていくほうが、
作業への取り組みや
就職への意気込み、
そして、やりくりができることでの安心感など、
一連の流れとして、
考えやすくなります。

仕事をしていない理由が、
生活保護費の減額であったり、
逆に、社会からの圧力を感じ、
もっと頑張らなければならないと思って
無理をし過ぎている場合もありますし、
やりくりができず、お金が足りないと思って、
他の利用者のお金を無心する場合もあります。
病院にどんどん行ってしまうのも無料だからだったり、
行政担当者から言われたことがストレスで、
施設の中でイライラする人もいます。

原因が生活保護という部分で
つながっているところにあり、
状況としては、
様々な部分で課題が出やすいのです。

生活保護の人同士、わかりあえる部分や
参考になる部分もあるので、
何人かと一緒に話し合いをすることも
とっても有効になります。

施設の日中支援の最中は、
お金という部分は後回しになりやすいと思いますが、
生活保護特有の課題を抱えている場合もありますので、
探っていき、
生活全体を見つつ、支援をしていきましょう。