人権侵害。
「まさか、そんなことをする人はいないでしょう?
障害者支援をしている人は優しい人ばかりだから」
「これは人権侵害じゃないですよ。
だってご本人は何とも言ってこないし、
親御さんにだって、
『いつもお世話になってありがとうございます』
って言われています」
「先輩がやっているので大丈夫じゃないですか?」
などなど、
こんなことを言っている支援者たちは、
何が、人権侵害かということがわかっていないし、
自分がしていることが、
人権侵害にあたるとも思っていないかもしれません。
どんなことが人権侵害なのか?
それは、明確な答えは現状ないと一緒です。
もちろん、差別はいけないとか、平等にとか、
そういう言葉はありますが、
具体例が、出てきにくい状態です。
なんでそういうことになっているのか。
それは、ご本人が嫌がりを見せないからです。
たとえば、パワハラとか、セクハラやいじめのように、
受けた側が「これは嫌です」と言えるようなことは、
裁判にもなったりしますし、判例として出てきますが、
知的障害者の場合、ご本人が嫌と表現できなかったり、
することの方が多いと思うのです。
だから、出にくいこともあるでしょう。
周りが気づいて初めて出てくることも多くあります。
そのために、私たち支援者が、
自分たちの身を振り返ることができる手段を持たなければ、
自分自身が「人権侵害」を犯していることに気づかず、
これが当たり前のことになり、
後輩たちにも引き継がれていくことになります。
では、私たちがどうやって自分たちの行動を振り返るのか?
それは、各事業所で、話し合うべきことです。
そして、方法を獲得していくべきです。
そこをしていない事業所が多すぎます。
たとえば、あなたがその障害者の立場になって、
されて嫌なことや、周りの支援者が、
そういうことをされたらいやだと言っている時点で、
その行為は「人権侵害」にあたると考えておくことは
現時点で判断材料になると思います。
また、親御さんたちに、こんなことをされるのは
嫌だったという過去の事例を出していただくことも有効です。
利用者の皆さんが、お話しができる人であれば、
職員にされて嫌だったことをあげてもらってもよいでしょう。
オンブズマンなどの第三者に
施設を訪問していただくことも
いいのではないでしょうか?
職員同志で、人権侵害じゃないかと
出しあえるシステムも大事ですね。
高齢や児童の施設などで出た事例を
当てはめてみるのも有効かと思います。
今の状態を良しとせず、
これってちょっとおかしくない?
を集めることです。
人権侵害という言葉が、
もう古びたポスターのように、
そこにあっても風景になって
気にされないことが、
日常になっている可能性もあります。
あなたが気づけなければ、
気が付かないかもしれませんし、
気づいても放置しているなら、
あなたも人権侵害を犯しているのと一緒です。
職員同士の人間関係ばかりを気にするのではなく、
そこにいる障害がある人にとって、
これは、どうなんだろうと考え、
表出化させることこそ、
人権侵害をなくす1歩だと思います。