私は、パニックにならないようにと
支援をしていますが、
それは、環境やコミュニケーションの中で、
安心のあるその人らしい生活を
してほしいからです。
ところが、アクシデントというのは、
いくら環境を整え、
コミュニケーションなどに配慮をしていても
何かが起きて、
「困った」や「辛い」という状況が
起きてしまいます。
たとえば、嫌な音が鳴ってしまった。
たとえば、地震が来てしまった。
たとえば、事故があった。
このような、外的要因で、
嫌なことが起き、
パニックになって行く方がいます。
こういう状態や
嫌なことをあえて経験すれば、
パニックにならなくなるのではないかと
仮説を立てる支援者がいらっしゃいます。
確かに
人によっては、嫌なことを
経験し続けることで、
もしかして、
パニックはなくなるのかもしれませんが、
私自身、それはやったことがないので、
どんな結果になるかはわかりません。
それに、この「実験」のような、「嫌な経験」は、
自分自身がだったら経験したくありません。
だから、人にもさせたくはありません。
もちろん自閉症の人が、
嫌なことを経験することで、
その方が変わっていくということが
成功事例であったとしても、
私はやらないと思います。
ただ、全く違う観点を持ってやります。
それは、
「嫌なことは起きるかもしれない」
ということを知ることです。
違った言い方をすれば、
嫌なことが起きるかもしれないと
「予定に入れておく」ことです。
「嫌な○○は起きるかもしれない」
と予測しているだけで、
万が一、そういうことが起きた時に、
「急なお困りごと」ではなくなります。
そして、嫌なことが起きた時に
どう対処するかを
とりあえず、決めておきましょう。
たとえば、
嫌な音が起きた時は、
その場から、聞こえない部屋に移動する。
嫌な食べ物が入っていた時には、
お店の人に言って、
取り皿をもらう。
バスの中で、
納得できないことをする乗客がいたら、
運転手に言う。
などの、嫌だを訴えているパニックに変わる、
「対処方法」を身につけるということです。
この対処方法を
とりあえず、やってみてよければ続ける。
だめだったら他の方法を考えるということです。
困ったことを経験し続けることで、
変化を促すのではなく、
困ったことが起きた時に対応するスキルを持つ。
という意味です。
それは、対処する力になります。
こちらの成功事例なら、あります。
嫌なことが起きた時に、
パニックにならず、
落ち着いて対処ができました。
また、嫌なことを回避する方法を
ご自身で考えた方もいます。
嫌なことがあえて経験することで、
好きになる方も、
いらっしゃるのかもしれませんが、
予測して、回避している間に
「嫌なこと」を気にならなくなる方もいますね。
対処できる力を、
身につけていただく支援も
必要なのです。