悪いことをした場合、家族に謝らせるのか?



叩いた。
蹴った。
つねった。

確かに行動は、
表面的には、
良くないかもしれません。

それに対し、
「明らかに悪いことと思う。
だから注意をした」

そういう会話で始まる職員さんが
多くいらっしゃいます。

では、何でその行動になったのでしょうか?

となると、
「わからない」というのです。

それでは、
行動に移した彼らは、
悪者というだけで、
終わってしまいます。

すると、
ご家族にも、その情報はいきます。

AさんとBさん。

AさんがBさんをたたいたとなれば、
Aさんのご家族には、
「利用者の人を叩きました」という情報が行き、
Bさんのご家族には、
「他の人に叩かれた」という情報が行きます。

この時に、実名を出してお話ししている
職員も多いかと思います。

さらに、ご家族に、
「謝ってください」と、
要求する職員がいます。

要求まで行くと、
施設や職員の考え方が、
おかしいのではないかと考えています。

というのも、
最初の話に戻りますが、
行動を見つけられた瞬間、
悪者になっているからです。

確かに行動としてはよくないのですが、
その前に、
支援ができていない可能性の方が
高いのです。

もともと彼らは、
表現をするところにも
「障害」があるのだと思います。

だから、うまく伝えられない。
そこで、
叩くなどの方法になる人もいます。

その、叩いたなどのことだけを見て、
判断をするから間違うのです。

何で叩くなどをしたのか?
行動するには理由があるはずなのです。

ですから、もしかしたら、
「その前」に何かがあったのです。
でなければ、
叩くなどはしません。

相手から何かされたかもしれません。
他で何かがあって、それが嫌だったので、
近くにいた人を叩いたりすることもあります。

そして、
「その前」に支援者が適切な支援をしていたら、
叩くこともなかったでしょう。

と、なれば、
謝るのは、
叩いた人のご家族ではないのです。

それは、事業所側です。

適切な支援をしなかったために、
叩くという行為をさせてしまった
事業所側なのです。

ですから、
その人のご家族が、
相手に謝ることが間違っていると思うのです。

職員は、
自分たちの支援の出来なさを謝るべきです。
しかも、叩くという行為を
せざるを得なかった人にもです。

利用者を加害者にさせ、
利用者だけが悪者のように
することは避けるべきです。

大きく言えば、
加害者は、
事業所側なのです。

その状況の
全体を見て、
事業所や職員の役割をもう一度考え、
利用者個人や利用者のご家族が、
先方に謝る気持ちにさせるような
対応はもうやめましょう。

するべきは、
自分たちの支援の見直しです。

ひとつでもふたつでも、そういう状況が減るように、
そして、最後には、
二度とそういうことの無いように
支援をしていきましょう。

適切な支援が入れば、
叩くという方法以外で
訴えることができる人が
増えてくるはずです。