「静か」ということが意味するもの



ある施設に5年の勤務をし、
他施設に異動になった時に
あるご家族から言われたのが、
「この施設、静かになりましたね」
でした。

当時、
パニックが多発していた施設で、
私が勤務をしてからも、
自閉症の人が何人も利用をはじめ、
最終的に、利用者定員の半数以上が
自閉症の人になった施設です。

パニックになると、
大声を出すことも多く、
また、それによって、
他の利用者も大きな声を出すとか、
泣くと言うこともありますし、
ものが投げられる音がしたり、
走り回る音もするわけです。

また、パニックはないまでも、
声を出しつつ、
作業をする人もいますし、
職員を呼ぶために連呼する声や
笑い声や楽しそうな声をも響くので、
知的障害がある人の施設には、
静かというイメージがないところも
あるのではないでしょうか?

作業をしているときに、
静かであると言うことは、
何を意味するのか?

そう考えてみることは、
あまりないかもしれません。

静かになったというご家族の評価は、
何を意味するのか?

うるさいのが当たり前。
パニックがあるのが当たり前。
そういうものとしてとらえていると、
支援で何かができるのかという発想は
ないと思うのです。

私も、このご家族から、
「静かになりましたね」と言われたときに、
気づいたのです。

たしかに静かになったと。

では、何が起きたのか?

5年の間に、
パニックの量が激減しました。

もともとこの施設は、
ひとりの人がパニックになると、
なぜか別の階の利用者がパニックになる。

そうなると、
他の利用者は、ざわざわし始め、
逃げる利用者もいますし、
職員も走り回る状況。

そういう施設だったのです。

ひとつのパニックを減らすことは、
他の利用者の安心となり、
ひとつの静かさが継続されます。

作業は続けられ、
利用者や職員が走り回ることもありません。

彼らの環境と言うこともまた、
大切な支援であることを証明しているようなものです。

パニックを起こさないような環境など、
支援をきめ細やかにすることで、
パニックの減少が静かさの保持に
つながるわけです。

安定していれば、
作業量も増えます。
作業量が増えれば、
工賃も増え、
もっと仕事をしようという意欲にもなります。

パニックがひとつなくなることで、
施設全体が静かになる時間は増えていくのです。

さて、今、うちの施設に見学に来られる方が、
感動されるのが、
施設の静かさです。

ここちよいと、
皆さんから感想をいただきます。

話し始めるとおしゃべりな人たちですが、
作業中は、
集中力が高いのです。

利用しようと見学に来られる人も、
「知的障害者の施設は嫌だ」
「大人数が嫌だ」
「うるさいのが嫌だ」
という人もいます。

もちろん、
うちの施設は知的障害の人のための施設ですから、
入ってくる人も知的障害ですが、
大きな施設は、
大人数でうるさいというイメージは、
ご本人たちにもあるようです。

でも、その感想、
理解できます。

聴覚過敏の人など、
うるささが、
ダメージになりますからね。
だから、静かな施設を探しているようなのです。

静かさという
ものにも、
着目してみると、
なにか、あなたの施設の課題が見えてくるかもしれません。

彼らの行動は連鎖します。
ネガティブな連鎖なのであれば、
どこかで遮断し、
ポジティブな連鎖に変更したいですね。

安心・安全を創り出せるよう、
施設内の音という部分からも、
自分たちの支援の質を考えてみませんか?

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