その瞬間、問題行動が発生する



自閉症や知的障害の人の
やっていること(行動)を見て、

「なんで、こんなにトイレットペーパーを使うのかしら?」
「なんで、ちゃんと座っていられないのかしら?」
「なんで、服を破るの?」
「なんで、窓を閉めて回るの?」
「なんで、急に走り出すのかしら?」

「なんで・・・?」

そのように思うことはありますか?

その「なんで・・・?」という
フレーズで始まるようなとき、
あなたが、自分の行動を基準にして、
その行動をしている人を
比べていることになります。

しかも、自分の行動が正しいとか、
自分の考えが常識だと思っているはずです。

たとえば、トイレットペーパーを
大量に使う人がいます。
それは、支援者であるあなたと比べてです。

「何でこんなに多く使うのだろう?
何とかならないかな?」

お金も絡む問題なので、
少ない量で使ってほしいと思うわけです。

そう思った時点で、
その人の行動が問題だと思い、
その人の行動を改善しなければならないと思い、
その人が悪者になります。

はい。「問題行動」の出来上がりです。

簡単にできます。

「問題行動」かどうかは、
あなたが決めていることなのです。

経緯は以下の通りです。

その人は障害がありますから、
できない状態のことが多くあります。
ですから、そこには支援が必要なのです。

支援者が、支援を的確にできないことで、
知らないことがあり、
支援者が正しいと思った行動を
していない場合もあります。

結果、支援者は、
そのように行動をされることに
困ってしまい、
改善もできず、
その行動をしている人を、
「問題行動をしている人」と、
位置づけているということなのです。

そして、その障害がある人のほうが「問題」になり、
こんな問題改善できないよ!と、
さじを投げれば、
あなたはお役御免。
障害がある人が悪者になる。

いかがですか?

もちろん、あなたが
関わっていて始まったことない場合もあります。

あなたが初めて会った時点で、
もうその行動そのものをしている人
という場合もありますね。
でも、障害がある人のその行動は、
よかれと思ってやっていることです。

なぜそうしているのかは、
どこかで学習をしたり、
解釈をしたりしたものを
正しいものと思い込んでいたりするからです。
あなた以前の支援者がした支援が
うまくなかったのかもしれません。

ですから、やはり、支援によるわけですから、
「問題行動」と捉えないで
いただきたいのです。

行動が出来あがっているとしても
もし間違いであるならば、
その行動は、
私たちの支援によって、
変ることもできるのです。

たとえば、
「彼らにわかりやすいペーパーの量を決めるやり方は、
どういう風にしたらいいだろうか?」
とか、
「椅子に座っていられるようには、
何か必要な物はないだろうか?」
とか、
そういうイメージで物事を考えてみましょう。

「問題行動を起こしている人」ではなく、
「さらに支援が必要な人」という考え方で、
支援をしていけば、
彼らは「問題行動をする人」という区分けから
抜け出せることができます。

もうお分かりの通り「問題行動」は、
彼らが自分たちで
言い始めた言葉ではありません。
だれかが「問題行動」と名付けたのです。
自分で自分を「問題行動をする人」とは
言いませんからね。

さあ、その行動、
・どんな理由があってやっているのでしょうか?
・そして、その人は何に困ってますか?
・もしご本人が困っていなくても、
 その行動をすることによって、
 周りが困ることはありますか?
・改善したほうがいいですか?

では、どうやって改善しますか?

問題行動とレッテルを張ることが
解決ではありません。

あなたの常識を前提に考え突き放すのではなく、
ご本人への支援という領域で考えてみましょう!