全てじゃないんだ 嫌なのは!



知的障害がある人に、
支援者が提示した作業や
提示したスケジュールなどに対して、

「それはできません(やりません)」

という拒否をする人がいます。

支援者側から見ると、
できないとも思えないようなものでも、
かたくなに、できないという表現を
する場合もあります。

これは、
ちょっと難しいなぁとか、
嫌いな人がいるからなぁとか、
のように、
何かが気になるとか、
何かが嫌いとかなのですが、
詳しいことは、
なかなか説明ができないようです。

ゆっくり聞くと、
表現をしてくれることもあります。

そして、
「できない(やらない)」といっていても、
こちらの提示した内容を、
その人に合わせた仕様に少し変更すると、
表情が変わってきます。

つまり、すべてが嫌だから、
それに対して「NO!」と言っているわけではなく、
ほんのちょっとだけ、
嫌な部分や困った部分があって、
そこを自分の力ではできないと思った時、
支援を求めずに、
やめたほうがようという
感覚になる場合があるようなのです。

だからこそ、全部を拒否をしてしまうのです。
そして、その表現もできにくいので、
簡単な言葉で、
「できない」などの言葉を使っているようです。

知的障害がある方が折衷案なんかを
考え付かない人がほとんどですよね?

ご本人にとっては、
「その部分」がわかっている場合もありますが、
それを言えない場合、
支援者側は、
全体のどの部分が、気になっているのかを
探る必要があります。

例えば、
全体を細かく分析して、
できる部分とできない部分や
好きな部分と嫌な部分とか、
聞いていくと、
引っかかる部分を教えてくれる場合もあると思いますし、
過去の経験から、
支援者が、この部分は変更しようかと持ち掛ければ、
問題なくやれることもあります。

それが、ほんの少しのことでも、
ご本人にとっては大きな壁ですし、
そのほんの少しのことが無理だと判断した場合に、
全部を拒否することにもなりかねないということなのです。

たとえば、
毎日通うのは大変だから「施設をやめます!」
となってしまいます。
「毎日でなければ、通える」とは言いません。

作業中の音がうるさいから「仕事が嫌です!」
となってしまいます。
仕事が嫌なのではなく、
音が嫌とは言えない場合もあるのです。

理由が言えずに拒否となってしまうわけですから、
もっともっと、その方々の「嫌だ!」を
細かく分析してみましょう。

何で嫌なのかな?
何でやらないといっているのかな?
と、考えてみることです。

その部分を省けば、受け入れたり、
方法を変更したら大丈夫だったり、
物が変わったり、場所を変えれば大丈夫だったり、
「折衷案」を支援者側から提示してみることです。

また、より多く(細かく)支援を入れることで、
できることがわかり、
拒否感がなくなる場合もあります。

支援者側が、
柔軟さを持ちましょう。
彼らの「拒否」から、
何を訴えているのかを
考えましょう。

「拒否をしたから、やらせませんでした」という
経験させないという方程式の中だけでは、
彼らの「やりたい」「できる」に
出会えないかもしれません。

「嫌」には、ニーズが隠されています。

じっくりと彼らの「嫌」に
関わってみませんか?