ご本人への制限・禁止に見る支援者の課題



ある施設にいた時に、
私たち支援職員には
言わないことを
厨房の職員に話している
利用者の人がいました。

「本当はね、
スカートをはきたいの」

昔働いていた施設は、
スカートは、
禁止状態。

施設としては、作業中の安全とか、
ご本人の恥じらいなどの観点が
あったかもしれませんが、
女性だったと言うこともあり、
男性に付きまとわれないようにと、
親御さんにも禁止をされていました。

「本当は、○○がしたい」
という時、
そのことをさせてもらえていないから
出てくる言葉ですよね。

なぜ、「○○」をさせてもらえないのか、
そういう意味まで分からないために、
その事実だけが、
その人にとって、
禁止事項とだけ意識され、
したいのにさせてもらえないという
認識になります。

理由を説明すれば、
意味がわかり、
納得をすることもあります。

でも、
なかには、
納得できる理由もなく、
支援者側も管理のために、
そのことを禁止し、
「本当は、○○がしたい」
という気持ちにさせていることは
ないでしょうか?

この、
「本当は、○○がしたい」
という言葉は、
ご本人に勇気がないと
言えない場合もあります。

そのくらい、
私たち支援者側が、
日頃から、
上から目線で
物事を判断して、
指示命令のようにしてしまっているのです。

私たち支援者は、
良かれと思って言っています。

例えば、
先ほどの
「ズボンにしなさい」と、
いろいろな人に言われている人は、
ズボンでいたほうが、
その人の生活にも良いだろうと判断をして
言われていると思います。

こういう時は、
だいたい反対側の行動があるのですが、
そちらの行動でも
大丈夫かどうかを
考えていない場合があります。

一方向だけを
正しいと思ってしまい、
それ以外をしてはいけないと
いう言い方になってしまうのは、
その支援者の癖もあることでしょう。

例えば、
ズボンにしなければならないと
考えた時の理由がありますね?

この時、ズボンでなければ、
安全が保てないなどの理由がありました。

では、本当にそうなのでしょうか?

もちろん活動によってはそうでしょう。
でも、活動によっては、
ズボンでなくても
大丈夫ではないでしょうか?

もし、ズボンでなければ、
本当に予測した事態になるのか
と考えてみるべきです。

そして、安全に関してであれば、
絶対にズボンだから安全なのか、
という視点も持つと、
ズボンをはいていても
安全が確保できない場合も
ありそうですし、
スカートでも安全が確保できることもあります。

となれば、
洋服の種類ではなく、
他の部分から安全を考えることも
重要となり、
ご本人の努力や
約束によって、
制限をすることでもないですし、
その制限によって気持ちが、
前向きにならないことで、
事故につながることにもなりかねません。

このように、
なにか、約束や規則を作る時には、
本当にその約束をしなければならないかを
もう一度確認しましょう。

その人に求めるのではなく、
環境や、
段取りなどの面から
考えてみることです。

先ほども書きましたように、
絶対になんでも、
ご本人の希望どおりに行くもの
とは限りませんが、
まず、私たち支援者が、
何かの理由をご本人に求めることよりも、
私たちの支援によって回避できることを
考えるべきなのではないでしょうか?

「本当は○○がしたい」
という言葉は、
私たちを
考えさせる機会になりますが、
中々言ってはいただけませんので、
私たち自身が、
何かを決める時に、
これでよいのだろうかと、
ご本人目線で物事を考えることです。

そして、
別な視点を持てば、
ご本人のご希望が、
叶うことも多くありそうではないですか?

なんでも禁止しておけばよいとお考えの
癖をお持ちの支援者もいます。
簡単だからです。
つまり、支援をしなくてよいから簡単なのです。

でも、それは果たして、
ご本人が主人公になっているでしょうか?

禁止や制限を、
今一度、
ご本人目線を持ち、
支援をするという観点で
考えていきましょう!