日常を創るための道具への視点



最初は、良いのですが、
段々に使い続けていると、
道具のことなど忘れてしまう。

そして、どうでもよいものになってしまう。

環境もそう。
毎日のごみや
ほこりは取り除いても、
少しくらい壊れたものを
そのまま使い続けたり、
使いにくいのに、
変えなかったり、
そんなところまで、
職員は手が回らない。

知的障害がある彼らは、
この道具は使いやすいかどうかを
考えることを後回しにして、
与えられた道具で、
よしとする傾向があります。

あなたの事業所の活動場面で使う道具、
使いやすいですか?
壊れていませんか?
修理が必要ではありませんか?

環境と一緒で、
道具も環境です。

切れないハサミを使えば、
かえって怪我をすると言うことを
聞いたことがありませんか?

そういう意味では、
あなたの事業所の道具は、
点検時期に来ていませんか?

また、ケガをしてからわかり、
ヒヤリハット報告をすることにもなりかねません。

私たち支援者は、
予防という観点からも、
「道具」に視点を向けましょう。

まずは大きな道具
什器・家具類

そして、活動の道具、食事の道具、
清潔を保つための道具など、
細かな所もです。

あえて、
職員は、その道具を使ってみるべきです。
どんなふうに機能を果たしているか?
最初に購入した時より、
機能が低下していないか?

また、利用者の皆さんが使っているところを
観察するべきです。
思った以上に、使いにくそうであれば、
変更するべきです。

ハサミを例にしますが、
職員が使いやすくても、
利用者のお一人おひとりに焦点を当てると、
中には使いにくい人もいます。

例えば、手が大きい人、
力が弱い人、
そんな人たちもいます。

ハサミをひと種類だけでは、
使いにくい人もいるでしょうから、
いくつかの種類を用意したほうが良いのです。

例えば、
靴をイメージしてみるといいでしょう。
みなさん、同じ靴ではないですよね?
同じ靴では、
ケガもすることでしょうし、
苦痛でしょう。

ですから、その人にあった道具という意味です。

そして、割れていたり、
何かが飛び出ているようなものを
使っていませんか?
入れ物とか、筆記用具とかです。
また、子供たちが使うおもちゃであったり、
本なんかもそうですね。

欠けている食器もかけている以外は
使えるわけで、使い続けたくなりますよね。

こういったものも、
このまま使い続けてよいのだろうか?と
自分たちに質問をしながら
見ようとしなければ、
見えてきません。

気づこうとしなければ、気づかないのです。

彼らは気づいていても、
言う術を知らないと思ってください。

だから、私たち支援者の範疇なのです。

これは、いつか、
なんとなく気づくことではありません。

あえて気づきに行くことです。
いや、気づいているのかもしれません。

でも、気づかないふりをしているのであれば、
人権侵害の域かもしれません。

私たち支援者は、
彼らに、
心地よい日常を過ごしていただくための
支援をしていく職員です。

こういった部分にも目を向け、
彼らが日常的に「嫌だなあ」という感覚で
生活しつづけないようにしたいところです。

「道具」という部分に、
もっと関心を寄せてみませんか?
良い道具は、
彼らの良い日常を作ります。

彼らの今日や明日を創るための
道具も見直していきましょう。