「できる」ために、工程分析は、きめ細やかに



知的障害がある人の支援をしているときに、
何かをしていただく際に、
ひとりでできる人、
支援者がやる人、
部分的にできる人、
など、様々な人がいます。

基本できることは、
やっていただくわけですが、
できるようになるまでには、
支援が入り、
できるところも、
部分部分の積み重ねです。

そして、一連の動作や行動が
できることもあります。

私たち支援者は、
彼らのできることやできないことを見極めたり、
興味があるのかないのかということや、
出来なくても困っていないことは省くなど、
単にできればよいということではなく、
その人の人生に必要なことかという観点も持ちつつ、
支援をします。

ですから、
もししていただくとしても、
それらの支援が、
決めつけや
上からの指示や、
つまりは支援者が主人公になってすることではありません。

さて、彼らが主人公になって、
行動をしていただく際に、
先ほど書きましたような、
支援の部分について、
考えていくときに、
してほしいのは、
「工程」です。

これは、何かを作る際に
工場などで行われるようなものもありますが、
私たちがしている行動そのものも、
細かく分けられることがあります。

例えば、
靴下をはく。

このことについて、
工程の分析をしてみるのです。

すると、
できない部分はどこなのかが、
わかるわけです。

例えば、立って片足があげられないのであれば、
イスを用意してみる。

つま先から、靴下がなかなか上に
あがって行かないのであれば、
手繰り寄せ(たぐりよせ)方を支援する。

このようにどの部分が出来なくて、
どのように支援するかを
イメージするうえでも、
この行動はどのように成り立っているのかを
知るとよいのです。
それが工程分析です。

もちろん、すべての人の行動が、
全く同じではありませんから、
靴下であれば、右から履く人、
左から履く人、というような違いもあるはずです。

さて、彼らが行動する際に、
部分部分ができるようになり、
次の部分を自分でやってみようかと
思う時があります。

その際に、
支援をしつつ、
どの部分だったらできるだろうかと、
考えて維持するのも工程分析が活かされます。

そして、やっていただいた時に、
できない場合もありますね。

これは、やはり、
その人の力量を超えた時です。

なんでも一人でできるようになったからと、
次々に何でもできるわけでもないのです。

そういう場合は、もう一度、
その前段階(できていた段階)に戻すことです。

たとえば、3つの工程をできた人だから、
4つの工程ができるとは限らないからです。

そして、その時に、
3つの工程だけしかできなかったとしても、
今ではなく、あとあとできることもあるからです。

時間がかかることもありますし、
興味が出た時にできることもあります。
その時の体調もありますし。

なので、
無理せず、
できることを続ける。
それによって、
また違うできることも
増えることにつながります。

工程分析は、
そういう時のためにも
必要と思った時に
イメージとしてしておきましょう。

そして、
必要になった時に、
あなたの頭の中にある「工程」を
引っ張り出しましょう。

人によっては、
1工程だったものを、
別な人には3工程になる場合もありますから、
その人に応じて、きめ細やかく、
分析できることをお勧めします。