自閉症支援:タイミングというスキル



ベテラン支援者が
ある言葉をご本人に言うと、
うまく通じるのに、
自分が言うと、
パニックにさせてしまう。
同じ言葉なのに…

なんていうことはありませんか?

この時、
あなたは、
自分がまだ信用されていないからだとか、
まだ新人だからだなどと、
諦めているかもしれませんが、
これは、そのような理由では
ありません。

あなたと他のうまくいった職員の
職歴や人間的な部分を
比べたのだと思いますが、
そうではないのです。

だいたいが、
タイミングの良しあしです。

(イントネーションとか表情も
関係する場合があります)

まったく同じ言葉を言ったのに、
それが通じるタイミング
通じないタイミングがあるのです。

そのタイミングをつかめば、
パニックにさせてしまう事は、
減るはずなのですが、
まさか、タイミングで?と
いうような部分なので、
皆さんお気づきにならない支援者が
すごく多いですね。

では、どういうタイミングか?

まず、人の行動を、
分析してみましょう。

その人が思った時には、
その人の行動は、はじまっています。

ですから、
その人の行動が始まったあとに、
あなたが、
やってほしいことなどを
言っている状態なのです。

このタイミングの間違いで、
パニックになっています。

あなたは、
あなたがやってほしいことを
伝えたいのであれば、
その人が思うより前に
提示することです。

そうすれば、
パニックにはなりません。

でも、
この支援スキルは、
何故難しいのかというと、
その人が思っていることが
見えない状況で使うから、
わかりにくいようです。

行動は、
分けられることができます。

(1)何かをしようと思い描く段階。(しようと思う段階=思考のスタート)
(2)思い描いたことをしようとする段階。(スタート位置についた段階=行動のスタート)
(3)行動し始めた段階。(スタートした段階=行動)

この、どこであなたが言うかが、
重要なのです。

一番良いのは、
(1)の前なのです。
最高遅くても(1)の最中には、
言っておきたいところです。

この原理は、
あなたも良くあることです。
もちろん私にもあります。
ほとんどの方が経験していると思います。
子供のころにもあったと思います。

遊びに行こうとしていた時に、
「宿題やりなさい」とか、
「台所手伝って」と親にいわれ、
イラッとしたことがあるでしょう?

それです。

タイミングが良ければ、
なんてことはないのに、
親が、そのタイミングを
間違ったことで
言われた側の
感情の変化が起きているのです。

もっとあります。

例えば、
ラーメンを食べに行きたいなと思った時に、
彼女に、「スパゲッティを食べに行こうよ」
といわれてしまったとか。

自分のモードは、
ラーメンになっているのに、
スパゲッティーか…と思うわけです。
これも、もう少し前に言ってくれれば、
スパゲッティでOKだったのに・・・

こういうことが、
私たちにもありますが、
自閉症の人たちにもあります。

このイライラに対し、
自閉症の人はパニックになってしまい、
私たちはイライラしながらも、
ぐっと我慢ができるという違いだけです。

なぜかというと、
自閉症の人はイライラしたことを
表現できない場合が多いからです。
パニックで表現をしている状態と
思ってください。

これでお分かりだと思います。

もし、自閉症の人に
パニックになってほしくなければ、
私たちが
どのタイミングで言うかが
大事になってくるのです。

だいたいが、
スケジュールの合間であったり、
次の行動をしようとした瞬間に
支援者が何かを話しかけることが
多いのでしょう。

もちろん、作業中に、
今やっている仕事を
ずっと続けていようとしている時に、
急に職員が、
仕事を変更しようとして、
パニックが起きる可能性もあります。

タイミングとは、
言い換えれば、
スケジュール化をするということです。

微妙な時間差でも
スケジュール的に考えれば、
わかりやすいと思いますが、
「事前予告」なのです。

その時ではなく、
事前に確認しておけば、
問題ないはずです。

どの時点で、
予定変更するか?

どの時点でそれを告知するか?

そういう細かな部分を
考えてみましょう。

そして、気持ちが始まる前に
言えるようになれば、
タイミングがつかめたことになります。

まずはやってみることです。
この人は、このタイミングで、
大丈夫なのか?
自分だったら
どのタイミングで言ってほしいか?

そして、急な変更はできるだけ避け、
慈善のスケジュール提示をして、
安心できる環境も整えましょう!