就労に不要な支援と必要な支援



就職をめざしている利用者の皆さんは、
施設で、様々な支援を受けつつ、
様々な技術を身につけていると思いますが、
実際に就職する時に、
相手(企業)がどのようなスキルを
必要としているかは、
その就職先で違います。

どんな職場に
就職するかもわからないので、
どんなスキルが、
必要かもわからないですし、
職員は、想定をしながら、
こんなことが必要なのではないかと
考えるでしょう。

その際に、職員がしてしまうのは、
厳しくしてしまう事です。
こんなことをしてはいけない、
それでは企業に怒られる等、
職員でさえ知らない世界に
合わせなければならないと、
叱咤激励する感じです。

「あいさつはきちん!」
「返事は大きな声で!」
「しっかりとしなさい!」など、
いろいろとやっている
施設もありますが、
これでは、企業は
困ってしまうかもしれません。

なぜなら、あいまい過ぎる部分だからです。

小さな会社で、
あいさつを大きな声ですることが、
迷惑になることさえもあります。

技術もそうです。

例えば、
パン屋をしている施設から、
クリーニング屋さんに
就職するとすれば、
パンを作るという技術は、
必要ありませんが、
その中で、就職した際に大事なことを、
身につけていくことはできますので、
今やっている作業そのものの
細かな部分に
職員がこだわらないことです。

たとえば、計量が苦手な人に、
特訓するかの如く、
数字を必死で覚えさせるよりも、
100グラムだったら、
100グラムの所に印をつけることなど、
企業の方がもっと柔らかい発想を
している可能性もあるわけです。

なぜ、施設の職員は、
このように厳しくし、
その基準に合わないと、
就職さえ紹介しないのでしょうか?

実は、その人が就職できない場合、
多くは、その人は就職できないと
施設の職員や親が、思い込んでいるからです。

そして、
企業のレベルに合わせようと、
躍起になっているわけです。

企業側が求めているスキルを、見出せれば、
施設職員がだめと思っているような利用者でも、
就職できるのです。

施設職員が、
これはだめと思っていることを、
もう少し、企業の立場になって
考えて欲しいと思うのです。

でも、
どんな企業に行っても
使えるスキルもありますので、
こちらも考えてみましょう。

一番大事なのは、
先ほども書きましたように、
なんでもできることでは
ないのです。

ですから、
持っていると
より良いのでは
ないかというスキルを
いくつか書き出しておきます。
あくまでも、
絶対ではないにしろ、
あったらより良いというものです。

1.SOSを言う
できないことを訴える力は、
自立の観点からも必要ですね。
難しいこと、困ったこと、体調不良など、
自分から言えるようになるとよいです。

2.自分から確認する
自分の思っていることと、
相手の思っていることが違う場合があります。
特に曖昧な言葉は、全く違うことを
考えている可能性があるので、
具体的なイメージを伝えることは、
必要になってくるでしょう。

また、指示されたことを
あやふやになった時に
そのまま続けるのは危険です。
自分から確認をするという場面は、
様々な所でありますので、
身につけられるとよいと思います。

3.指示通りにする
担当者の指示通りに
仕事ができる人であるべきです。
指示の中に、
「自分で考えて」と
言われたとしても
それが、「指示」ですので、
どこまで行っても「指示通り」と
思ってよいのです。

この3点を少しでも
身につけることを目指して
いくとよいと思います。

さて、身につけるということは、
支援するということです。

ですから、施設の中で、
様々な作業種を使い、
この3つのことを少しでも
できるようにしておくことは、
企業に就職した時に、
役立つスキルとなるのです。

また、自立の観点からも
大事なスキルになってくるでしょう。

ぜひ、個別支援計画に入れつつ、
支援をしていきましょう。