計算ができなくても自立できる意味



昨日のブログ、
『お金のやりくり支援を始めよう』で、
こんなことを書きました。

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お小遣いをあげて、
好きなものが買える。
買えたときはうれしいですよね。

そして、支援者がさせたがるのは、
計算です。

ここにあるお金は全部ではいくら?
とか、

500円から300円の買い物をしたら
おつりはいくら?
とかです。

確かに「お金を使う」には、
計算ができたほうがいいとは思います。
でも、私のなかでの重要度は、
後回しになります。

つまり、
計算能力を問われる部分なので、
後回しなのです。

それに、実際使うときに、
お店の人が計算してくれ、
ご本人が計算しなくても
大丈夫なようになっていますから、
安心な店で買えばいいことなのです。

実は、計算ができなくても、
やりくりができたのほうが、
自立度は高いのです。

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その説明をします。

今、高齢者や身体障害者の人たちの中で、
レジで財布ごと渡す方が
増えていることをご存知ですか?
また、後ろに並んでいる人がいると、
緊張して、小銭が出せず、
1000円札で支払う人も
けっこういるようです。

知的障害じゃない人が
そういう状態なのですから、
知的障害がある人だけ、
絶対に計算ができなければ
ならないというふうに
思いこまなくても大丈夫だと思いませんか?

ましてや、
今、レジもバーコードで金額がわかり、
お札を入れれば
おつりの自動計算をする機械を
導入しているお店も
どんどん増えています。

お店の人が計算を間違うのではないかとか、
だまされるのではないか
という心配もあると思いますが、
消費税もある中で、
彼らが計算をするという
困難なスキルを身に着けるよりも、
お財布ごと渡してみたり、
1000円札で支払いができ、
おつりとレシートを
もらってくるということができれば、
そんなに、必死に計算できなくても
自立という方向に行けるのです。

それに、だまされるのではないかと
思うかもしれませんが、
もう少し、お店の人も信用してみて欲しいですね。

案外大丈夫ですし、もし金額が違うのであれば、
レシートを持って行ったり、
他の店に替えるなどの方法もあるかと思うのです。

私自身も、家族の1週間分の買い物をまとめてするので、
10000円以上になります。
まったく計算しません。

レジにまかせきりです。

山田は計算できない。
計算できるようにしなければならない。

と思われますか?

思われないと思うのです。

私以外の方も、
計算しているとは思えません。

ですから、
彼らにとって難しい「計算能力」に
目を向けるよりも、
買い物をするというところに
目を向けてほしいのです。

では、お金以上のものを
買ってしまったらどうするのか?と
ご心配ですよね?

それは、お店の人が買えませんと
言ってくれますよ。

もし、自閉症の人のように、
買うと決め、お金がないとわかると、
パニックになるというのであれば、
行く前に、
お金が足りない場合は、全部買えないことと、
お店の人に商品を減らしてもらうという工程を
一つ入れておくことです。
一番いらないものを減らすということです。

それでも心配なら、
行く前に買い物リストを作って、
一番最後から減らしていくなどの
ルールを決めてみてはいかがでしょう。

お店の人と
前もって打ち合わせを
することもできるでしょうし、
ご心配になっている部分を、
もう一度整理してみてはいかがでしょうか?

なぜそう思っているのかを考え、
何を支援すればよいのか、
自立はどうやって手に入れるのか、
そんな視点でお考えいただければと思います。

ちなみに、もし、お店の人を頼れれば、
人にSOSを言えるスキルが
身につく瞬間でもあると思うのです。
それが街の人とのつながりにもなることでしょう。

買い物も自立という視点で、
考えてみましょう!