葬儀。
知的障害や自閉症の彼らには、
この経験ができない人もいます。
葬儀の最中に
何か参列くださった方に
迷惑をかけたらいけないからということや、
長い葬儀の最中に
面倒見なければということなどで、
ショートステイを
使われる方も多いよう見受けられます。
でも、私は様々な葬儀に
参列させていただきながら、
やっぱり、ご家族の葬儀には、
彼らを参列させてあげたいとも
思うのです。
もちろんそばについている人は
一人いたほうがいいかなとも思いますが、
ケースバイケースでしょう。
印象的だった葬儀がいくつかあります。
ヒントになればと思い書かせていただきます。
その方のお父さんの葬儀の際、
職員が受付をしたときがありました。
ずいぶん昔の話です。
人が好きなその彼は、
私と受付にいました。
参列の方がいらっしゃるたびに
「来てくれたのね」
「ありがとう」
と、にこにこ。
そして握手。
さらには、
香典袋を
いただくときに、
「いくら入ってるの」
と聞いてしまいました。
もちろん、そういう質問を
してはいけないことを話しました。
でも、こういうことって、
経験しなければわからないことです。
また別な方ですが、
お父さんの会社の葬儀。
障害がある子供がいるとは伝わっていなかったようで、
控室で、ずっとお母さんとふたりでいらっしゃいました。
長い長い葬儀が終わるころ、
お母さんに、
最後を見せてあげようと
お話ししたら、
ご許可いただけましたので、
会場に連れて行きました。
お母さんはいけなかったのです。
確かに会場は、
あの人は誰?という雰囲気に
なったと思います。
でも、長男として、
家族の代表として参列するよう、
ご本人に話し、
お棺に眠るお父さんを、
きりっとした顔で、
見ていました。
ご家族からのあいさつの時も
前面に並び、
代表の方のあいさつが終わった時に、
頭を下げた瞬間、
彼も自ら頭を下げました。
立派でしたよ。
こういうことがあることで、
自分の立ち位置が変わります。
お父さんがなくなったということで、
自分がしっかりしなければならないと、
感じることもできるようです。
母を守ろう。
そんな雰囲気さえ、出ていました。
こういう場面に会うことは、
彼らにとっても
人生の中の気づきの場となります。
確かに葬儀中に面倒を見るのは
大変なことです。
でも、一度しかないその瞬間、
ぜひ、ご一考いただければと思います。
どのご家族にとっても、
後悔のない葬儀になりますよう
願っています。