自閉症支援:効果のない注意とその意味


言葉のない自閉症の利用者が
職員に、△△(良いと思えない行動)をします。
その都度、「△△は、しません」と
注意をするしかないのでしょうか?
どのような支援が必要でしょうか?
厳しく叱っても効果がないような気もします。

 
このようなご質問をいただきました。
この思考の形は、誰でも考えるパターンかもしれませんね。

でも、良いところにお気づきになりましたね。
気づかなかったら大変なことになっていたかもしれません。

では、検証していきましょう!

このお話しの中で、
ポイントにしていただきたいのは、4点。

1.なぜ△△をするのだろうか?という視点を持っているか?
2.注意の効果はあるのか?
3.注意に変わる支援方法はあるのか?
4.利用者主体・虐待防止の観点を忘れていないか?

1.なぜ△△をするのだろうか?という視点を持っているか?

ここであった△△という行動は、
支援者が悪い行動
評価していることです。

その行動の理由を、
悪いことをしているというイメージではなく、
困っているからしているというイメージを持って、
理由を探してみましょう。

行動を見ると、
どうしても悪いことに思えてしまうので、
裏にあるその行動をした理由が見えてきません。
ましてや、この人は言葉がなく、
SOSも言いづらい状況です。

SOSを訴える手段が、
△△になったと考えることで、
原因を探ってみてください。

ちなみに、この△△は、
わざわざやろうとしたわけではないことが
非常に多く、
あくまでも何か困ったことなどが起き、
訴える手段を知らない場合に
してしまう行動だと考えるべきです。

2.注意の効果はあるのか?

SOSを訴える手段が、社会的に見て、
よくない方法だとしても、
ほかに手段を知らない人に、
注意をした場合、
あなたは支援者に向けて、
SOSを訴えてきた人に対し
門前払いしているようなものになります。

ですから、注意は支援にはなりません。

支援を求めてきた人に
注意をするという構図となり、
まさに人権侵害ともなります。

3.注意に変わる支援方法はあるのか?

先ほども書きましたが、注意するべきではなく、
SOSを受け入れることになりますから、
その人の行動の原因を解決することで、
SOS(その行動)はなくなります。

また、△△ではない、
別な訴えの仕方を、
その人に合わせて、
見出す支援をしていくことです。

△△に変えて、
SOSを伝える方法です。

また、△△をする場面が、
決まっているようなときは、
対処の仕方を伝える(支援する)ことも有効です。

4.利用者主体・虐待防止の観点を忘れていないか?

△△という行動が
どうしても反社会的であったり、
ルール無視であったり、
他者がこわがるようなものであったりする場合、
何とかしなければと思って、
強く注意をする傾向が強くあります。

この相談をされた方も
「厳しく叱っても」と書かれていますが、
そのような関わりをして、
それが、よい支援だと勘違いしている
支援者は多くいることでしょう。

SOSを訴えてきた人に対し
門前払いしているようなものと
先ほども書きましたが、
これは、支援とは何か?と考えるような部分となり、
利用者主体の考え方から外れます。

また、良かれと思って、
注意をしていくことこそ、
虐待につながっていきます。

支援と虐待の境目は非常に接近していますので、
あなたが、一歩離れた位置から、
自分のしている行動を
見るよう心がけましょう。

なぜなら、虐待は、
密接に近づくことから
発生しているからです。

どうしても、
△△のような社会的に良くないと思える行動を
目の当たりにした支援者は、
何とかしようとして、
その利用者との距離を近づけますから、
虐待になりやすいのです。

あなたが良かれと思ってやっている行動は、
第三者的に見て、虐待方向なのか、
利用者主体の方向なのか、
立ち止まって、考えましょう。

以上のような組み立て方で、
あなたが接している利用者の行動を
考えてみてください。

また、自閉症に人への具体的な支援方法は、
サイトマップの中の「自閉症支援」に
まとめてありますので、
そちらもご利用ください。