虐待は、だれでもしてしまうかもしれない



さまざまな虐待事件が起きる時、
色々な人がインターネット上で、
ご自身の意見を書き込みます。

「信じられない」
「何でこんなことになってしまったの」
「うそでしょ?」
「ありえない」
「人としてどうなってるんだ」
「職員をやめさせてしまえ!」
「施設もなくせ!」

虐待は、起こした本人の人間性の問題だという見方が
多くを占めていますが、
はたしてそうでしょうか?

実は、誰でも簡単に
虐待をしてしまう可能性があります。
その芽は誰もが持っています。
たまたましていないだけなのです。

ある虐待防止研修会の
受講者、約200名の皆様の中で、
私がした質問を通し、
身体的虐待予備軍と思ったのは、
3分の2以上の皆さまでした。

研修に来ているくらいですから、
上司の命令だとしても、
それなりの意識はあったと思いますし、
今、自分が虐待をしているから来たという人は、
ほとんどいません。

中には、施設でこういうことが起きている。
これは虐待だと思う!と、
泣きながら話してくださる受講者もいます。

「実は、見過ごしているあなたも虐待者ですよね」
と、話してみると、ご理解いただけます。

さて、なぜ、だれでも、
虐待をしてしまう可能性があるというのか?

たとえば、あなたの事業所のある職員が、
利用者の支援をしていたにもかかわらず、
虐待と思える事態になった時、
その支援をしている職員に、
あなたは何の躊躇もなく、
すぐに話しかけることができますか?

それが、上司・先輩だったらどうですか?

「躊躇なく」というところがミソです。

そこを「躊躇する」方が多いと思います。

それは、その人の行為が本当に
虐待かどうかと迷うからであり、
自分が間違っていたらどうしようと思ったり、
これでその職員とうまくやっていけなくなったら
どうしようと思うことが先に立ちます。

もう、この時点で虐待の可能性が高いのです。
利用者の人は苦しんでいる状態のはずです。

躊躇をしている間に、
日常的になり、
そういうことをしている人の虐待行為が、
自分の中で「ふつう」になったり、
職員の言いなりになっている利用者に、
それは正しい支援なのではないか?
という感覚を持ってしまったりするのです。

支援技術を持っていないために、
利用者を抑圧するような虐待行為が繰り返されれば、
あなたの虐待ではないか?と思っていた感覚は、
遠のいていきます。

ですから、
あなたは目の前で起きている虐待ついて、
なにも行動ができないのでしょう。

では、その最初の人は何故してしまったか?
そして、続くのか?

やはり、技術がなかったりすることが
発端の場合が考えられます。

技術は誰しも最初から持ち合わせておりません。
ですから、ここの時点でもだれもが虐待に走ることもあると
考えられるのです。

そして、未熟ながらも虐待の瞬間に、
ダメだといわれなかったことや
利用者が従順だったことで、
「これでいいんだ」という感覚になります。

それが地位ある人だったら、
より、虐待は広がってしまうでしょう。

また、支援をしている際に
自分一人で何とかしなければとか、
即効性を思うばかりに、
叩いてしまったりすることもあったり、
親御さんに
「言うことを聞かなかったら、叩いてください」と
言われたことが発端だったりもします。

自分はしないと思っていても、
様々な要素で、
虐待行為が始まってしまうと、
「そうするしかないんだ」
「これでいいのだ」
「これが支援なのだ」
と、思い込み、
自分でも自分自身を止められない場合は多くあります。

虐待行為をした人は虐待者です。
また、それを見過ごした人も同じく虐待者なのです。

さらに、その行為がとっても嫌だと思ったときに
それを思った職員が辞めてしまうと
いうこともあるでしょう。
でも、効果的に解決するわけではありません。

そのあとに、新しく入ってきた職員は
もともと虐待がある施設に入ってきてしまい、
それが「普通」となります。

こうやって、虐待が一度起きると、
連鎖してしまいます。

虐待はやらないと決めた心が、
簡単に負ける可能性があります。

人は、
他人の顔色を見たり、
自分の立場を擁護したり、
何かの理由をつけて自分を正当化したり、
人間関係で生じる課題ばかりじゃないですか?

だから、誰でも虐待をしてしまう可能性があるのです。

気持ちが強ければやらないということでもないのです。
その職員にどう思われようと、
利用者のために即刻その行為について、
話しかけられるのでしたら、
虐待も止まる可能性はあります。

まずは、そういう場面を想定し、
どんな言葉をかけるのかを決めておきましょう。

そして、虐待は対岸の火事ではなく、
自分の身近でも起きることと
認識をすることです。

あなたから始まる可能性もありますし、
あなたのまわりの人がきっかけで、
あなた自身が虐待をしてしまう時もあります。

そういう人だから、
障害者支援ができないのではありません。
そういう人でも虐待に走らず、
支援を展開していくという方向に、
できるのです。

そこを身につけることで、
虐待に走らない組織になりましょう!

しない、させない。STOP虐待!

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