例えば、会社のA先輩が、
「○○をしてください」と頼んできます。
それを、やっていると、
別なB先輩が、
「△△をしてください」といいます。
今、「○○を頼まれているので、
これをしています」というと、
「そっちはいいから、
△△をしてください」と頼まれます。
こういった時に、
どうすればよいかと悩むことになるのは、
彼ら、知的障害がある人なのです。
会社を一例にしましたが、
これは、就労系施設でも一緒です。
職員が言ったことをしていると、
他の職員に、
こっちの仕事をしてほしいと頼まれるという、
施設はないでしょうか?
さらに、生活介護系でもあります。
活動に参加したくないといった時に、
「いいですよ」といった職員がいて、
自分の活動場所で、
個人的な活動をしていたら、
「何でそこにいるの!?活動に行かないとだめですよ」と、
他の職員から声をかけられる。
このように、
最初に話した支援者の指示と、
次に話した支援者の指示が、
明らかに違ったりすると、
彼らは非常に混乱しますが、
支援者同士の
意思疎通ができていないことに
よるものが多いのです。
しかも、指示に時間差があり、
最初に言った人が、
そこにいないことも多いのです。
ですから、
混乱した知的障害の人は、
最初の指示の人に、
確認することもできません。
本来、支援者同士で、
充分に想定をしていくべきです。
そして、お互いに、
報告しあうことです。
「今、こういう仕事を
してもらっています」
「今、こういう活動の参加の仕方を
してもらっています」
先に指示をした人が、
他の職員にも報告をし、
調整をすることで、
この指示の変更は防げます。
あくまでも基本の話しです。
これは「チームのルール化」なので、
これよりももっとチームにとって、
やりやすい方法があれば、
そのチームでのルールを決めましょう。
ようするに、
指示のダブルブッキングは、
避けるべきということです。
先ほども書きましたが、
簡単に知的障害の人に、
複数の指示をしてしまう現実は、
多くの施設や事業所で、
起きている事実ですし、
それによって、
知的障害がある人は
非常に混乱をします。
混乱をしますが、
苦情にもならず、
自分だけでイライラを
飲み込んでいるわけです。
ですから、
そんな困った状況があったことさえ、
支援者も気づかないのです。
このことは、
私たちが、例えば、仕事をする上でも、
他者から時間差で複数の指示を受けた時に
自分が、どう対処してできるかによって、
ストレスになるくらい、
大きなことなので、
そういうことを
イメージしてみてはいかがでしょうか?
知的障害の人だと、
対処ができないことも多いのです。
ですから、ストレスは大きく残っています。
私たちの支援の仕方で、
彼らにストレスにならないように、
配慮すべきことですし、
チームでしているときに、
ルール化できれば、
彼らはいきなりのアクシデントもなくなり、
安定して作業や活動に参加できるのです。
彼らは指示されて動くことが多い人たちですから、
ぜひ支援者が自ら気づき、
そういう事態を起こさないような
支援を展開できるようにしていきましょう。
なお、この話は、
就労継続A施設で働く、
軽度知的障害がある人からの
苦情をもとに
書かせていただきました。