目の前にいるから気になる



知的障害がある人は、
支援が必要な人ほど、
支援者がそばにいますが、
逆を言えば、
常に、誰かが見ていて、
時には、監視をされているような状態で、
何をするにしても、
支援者のテリトリー内で
生活をしているような状態に
なっていることもあります。

実は、ご本人には、
よく理解できないことかもしれません。

でも、支援者側は、
いつも自分が見ていないと、
この人は何もできないと
思ってしまう事も多いと思います。

この「自分がいなければ、
何もできない」と思っている感情が、
支援者であるあなたを縛り、
さらには、知的障害がある人のことも
縛っていることになりかねません。

さて、その人の経験という視点で
物事を考えてみましょう。

あなたがいない状態で経験することは、
その人がいつもとは違った経験を
増やすことになります。

あなたと一緒にいない時に、
もしかしたら、
失敗してしまう事もあるかもしれませんが、
それは経験となり、
自分で、乗り越える力になったり、
いつも誰かにやってもらったことが
自分でもできることがわかったり、
SOSの出し方を学んだり、
自立や成功に結びつくような経験と
なることもあるのです。

でも、常に支援者といると、
どうしても安全策を取りたくなりますから、
できないのではないかと
支援者が判断して
やめさせてしまう事もあるでしょう。

このように、
支援者がそばにいることで、
充分な支援が入る場合がある傍らで、
逆に、経験できないことが
増える可能性もあるのです。

私たち人間は、
目の前に起きたことを
気にするようにできています。

知的障害の人が目の前にいれば、
やはり、支援をしたいと
思っているあなたは、
気になって、
関わりをしたくなるわけです。

ということは、
目の前にいなければ、
気にならないのです。

あまりにも気になりすぎて、
知的障害の方を
干渉しすぎたり、
任せることができなかったり、
代わりにやってしまったり、
経験させなかったり、
自分がイライラしたりすることが
ありすぎるのであれば、
今よりも、関わる頻度を
減らしていくことをお勧めします。

居れば気になる。
気になれば、
手出し口出しをしてしまう。

気になりすぎが、
その人の自立をそぐように
なっているのであれば、
考えてみてください。

彼らは、人にやってもらったり、
人とやるばかりではなく
ひとりで経験する場も
とても大切なのです。

さまざまな経験を
できるようにしていくのが
支援者の役割でもあります。

いつまでも私たちは、
その人にべったりと
くっついていることではないのです。

もちろん適時そういう場面もあるでしょうけど、
いつか近い将来、
離れていくことを大前提に、
そばにいることです。

その人の可能性を
思い描ける支援者でいましょう。
可能性をつぶしてはなりません。

見ないことも時には大切。
知らないことも時には大切。

そんなイメージで、
なんでも関わったり、
なんでも知ろうとすることは、
やめてみることです。

あなた自身が、
いつも見られていたら、
きっと窮屈な人生だと思います。
自由を手に入れたいと
思うのではないでしょうか?

離れる。

ということで、
彼らに自由という場も作り出しつつ、
できる自立のための支援もあることを
今一度考えてみましょう!

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