支援は、ご本人の申し出により始めるのが、
基本であると考えています。
でも、生まれながらに知的障害がある人も多く、
自分の障害に気づかなかったり、
誰かが常に何かをしてくれる関係で、
障害を感じない人もいます。
そして、理解度という意味では、
そういうことを考えることも
難しい人もいます。
第三者から見ると、
明らかに障害があり、
何か支援が入ったほうが、
できることが増えたり、
困っていることが解決したり、
今以上に暮らしやすくなる人もいますが、
ご本人からの訴えがない事も
多いのではないでしょうか?
このような状態なので、
基本を基本だからといっていては、
支援の開始には至りません。
ですから、
ご本人が感じ取っていない障害を
私たち支援者が感じ取り、
支援の開始を申し出ることは
よくある話です。
さて、そのためには、
私たち支援者が、
その人の発信していることに
気づけることができれば、
どんなに良いか。
実は、
彼らの発信は、
私たち支援者にとって、
全てがわかりやすいものでは
ありません。
できるだけ、
どんな発信も
受け取れるような
自分になっていくことなのです。
ただ、これは、何かで学んだから
できるようになるかというより、
「気づくこと」になれていくしか
今のところはないのかもしれないと思っています。
こんな職人技のようなことに
見えるかもしれませんが、
あなたが、知的障害がある人の
何かしらの発信に
気づくポイントがあります。
音
何かの音がした時。
何かを落としたり、倒れたりすると
音がします。
その音を聞き分けることです。
音がした瞬間、何かが起きていますので、
そちらを見るようにしましょう。
におい
排便
おなら
洋服のにおいなど
たとえば、何かをこぼしたら、においがつき
洗濯の合図であったり。
歯磨きしていないための口臭だったり。
健康に関係してきますので、気にかけましょう。
表情
支援者といる時の楽しい雰囲気から
一転することがあります。
精神的な苦痛での変化も多く見受けられます。
面談は対面で行う意味もあります。
いつもと違う行動
何かにやりにくさを感じた時に、
いつも使っているものではない道具でやろうとしたり、
何かをする場所を変えたり、
したことの無い行動をとる場合があります。
何らかの理由があると考えてください。
声の抑揚
元気がなかったり、
涙声だったり、
怒り口調だったり。
こころの様子が、反映される部分です。
場に会わない会話
自分のことで精いっぱいになっていて、
その場にあわない会話があった時など。
他者を意識できず、
自分の困っていることを訴えている場面になります。
他者に合わせるのではなく、
その人を中心に考えてみましょう。
ためらうような返事や支援者への質問
納得していない感じの会話や質問が多くなる時は
不安の表れの時もあります。
その他、
遅刻・早退・欠席
食事量の変化
体重の減少
ため息
場に混じらない
いつもできていることが出来ない
忘れている
手足声の震え
耳を押さえている
目を閉じている
羽振りが良い
お弁当の内容
顔の汚れ
衣服の乱れ
歩き方
スタートの瞬間
などなど、
様々な所にヒントが隠されているのです。
これは、通常の状態を
知っていないとわからない変化です。
例えば、
体温が、通常36.8度の人であれば、
36.9度だとしても、
高熱ではないです。
でも、35.6度の人が、
36.9度の熱を出したら
大きな変化となります。
37度になっていなくても、
高熱となるのです。
ですから、
まず通常状態(基準)を知ることが、
変化のヒントとなるのです。
そして、行動には意味があるのです。
彼らは、訴えが苦手な人も多いので、
それを、
行動の変化で表す人も多くいるのです。
たとえば、
パニックや乱暴をするなどの場合、
社会的に許されないような
行動に見えることでも、
行動の変化ととらえ、
なにか困ったことがあるかな?
という、気づきの発端として
いただきたいのです。
気づきは、
誰から言われることでもなく、
支援者自身が、
「気づくという行動」を日常的にするということです。
あなた自身は、支援をするために
まず、日常のその人の状態を把握し、
そこから変化が見られないかと
「アンテナ」張っていきましょう。
「障害」や「SOS」に気づくために。