ご本人にお金の感覚を身につけてほしいとか、
やりくりができるようになってほしいとか、
ご自分のお金について、
さまざまな支援を入れつつも、
自立してほしいと願う
支援者も多いと思います。
知的障害がある人の場合、
入所施設やグループホーム、
そして、親御さんや成年後見人などが、
お金の管理をしていることも
多く見受けられますし、
お金がどのように
動いているかを知らなかったり、
知っていても、
なにも一切のお金を使おうとしなかったり、
お金を使うときは、
親に出してもらうのが当然と
思っている人もいます。
その人たちに、
いきなり、あなたはお金を
やりくりしなければなりませんと
言ったところで、
できるわけもなく、
また、たしざんや引き算を
教えることで、
やりくりができるように
なるわけでもありません。
では、金銭の管理を
誰かがしているのかも知らず、
お金は湯水のごとく出てくると思っている人に
金銭支援を始めるにあたって、
どこから話すべきでしょうか?
1.お金は、使ったらなくなっていくものということ
2.入ってくるお金と、出ていくお金があること
3.これからは、自分のものは、自分で買うこと
4.今必要な物だけではなく、
将来必要な物を買うために
貯金を残しておく必要があること
そのあとで、
5.通帳の存在すること
銀行で預かってもらっているお金は、
全部が今スグに使えるお金ではなく、
大事に少しずつ使うお金だと言うことも
付け加えたいところです。
金額を見せたところで、ピンとこなかったり、
10万円ぐらいあっただけで、
大金持ちだと勘違いする人もいます。
それだけ、
大きなお金に接する機会がないからです。
その人の知っていることやできることの中で、
今あるお金を大切にすることを
意識していただくために、
具体的な事例など出して話していきたいところです。
たとえば、「今日全部使ったら、どうなると思う?」
などと質問していくと、
「こまっちゃう」とか、
「おなかがすいちゃう」とか、
答えられるとよいですね。
そこまで話せたら、
さらに、次にお金が入る日を言うと、
なくなったら大変なんだ、が理解できていきます。
そこまで毎日何も食べないということは、
無理だから残そうとするでしょう。
そういうイメージを持っていただきましょう。
どんなお金が入ってきて、
どんなお金が出ていくか?
家庭やグループホームで、
自分が負担すべき食費や光熱水費、
洋服や日用雑貨や趣味の費用など、
どんなものにお金が使われているか(いくか)を
説明しましょう。
今まで全く知らず、
誰かがお金をくれていた
というイメージの中で、
なくなれば、また誰かが
出してくれると思っている人は、
お金が無くなることの恐怖は知りません。
ですから、イメージしやすいように
導入することで、
実際は、これからの支援の中で
繰り返し繰り返し説明していく部分です。
ただし、興味がなければ
意味がありません。
興味を持っていただく工夫は必要です。
あくまでも導入の話です。
自分のお金の存在を
知らなかったわけですから、
非常に難しい話です。
そこまで説明した後から
やりくりの支援に入っていきます。
それはまた別な話です。
さて、できれば、20歳になる前に
この説明はしておいたほうが良いのです。
そして、遅くても年金をもらった時から、
ご自分のお金の中で、
収入と支出をやりくりして
いただきたいところです。
もちろん、小さいころから
お小遣いの中で
やりくりをすることを
身につけておくべきで、
なくなったら親が出し続けている人ほど、
お金が無くなれば、出てくると解釈するのです。
20歳過ぎてお小遣いを渡しているご家族は
やめていただいたべきでしょう。
どうしても、
今あるお金を見ると、
今使いたくなるのが彼らです。
でも、それは大きな間違いなのです。
それは、今まで、
支援者のやり方が
間違っていたからです。
将来を見越して、
買わなければならないものを
買うために取っておくことの重要性は、
ご理解いただきたいところです。
まずは、自分のものは自分で買うこと
を徹底していくことです。
時間がかかっても、
自分のお金の中でやりくりする気持ちは
必ず出てきています。
最初の導入には、
自分のお金は大切だと認識できるよう、
進めましょう!