知的障害がある方の
自己選択・自己決定ということに、
真剣に取り組んでいる支援者が
心配していることのひとつとして、
選択を誤ったらどうしようと
思うことがあります。
確かに、
自己選択ということは
彼らにとって大切なことですし、
私たち支援者も、
できるように
なってほしい一つのスキルとして、
そういう場を
提供していると思います。
たとえば、私たちも
レストランで迷い、
何か一つのものに決めたときに、
思ったような味ではなく、
残してしまわざるを
得ないことや
無理して食べることはあります。
自分のことなら許せるのに、
利用者のことになると、
なぜか、かわいそうなことをしたとか、
申し訳なかった気持ちで
いっぱいになる人もいます。
たしかに、情報をきちんと
入れられなかったことは、
原因のひとつかもしれませんが、
見た目ではわからないこともありますし、
自分で選んだものが、
よくなかったことというのは
誰でもあるわけで、
そこは、支援者だけが、
責任を負う方向の気持ちばかりを
大きくすることはありません。
「間違っちゃったね」
「写真ではおいしそうだったのにね」
「今度来た時は、別なものにしてみようか」
「店員さんに聞けばよかったね」
など、
失敗した時の振り返りをしていきたいところです。
これは、自立への一歩でもあります。
全てを守られた環境にはできません。
間違った時にする対応策を伝えることが、
彼らにとって、
これからの生き方に役立つわけです。
反対に、やってはいけないのは、
自己選択をさせたら、
こんな結果になってしまったので、
もう、自己選択をさせない
という形になることです。
たとえば、店員さんとのやり取りで、
支援者自身が恥ずかしいと思ってしまったり、
こんなに残して、店に何か変に
思われるのではないかと、
彼らの心配より、
自分の心配をする人もいますね。
自己選択をさせたから、
こんなことになったのだと、
機会を取り上げてしまう事になりますし、
残さないで無理やり食べさせようとしたり、
自分で選んだのだから食べなさい!
とばかりに、怒りだす支援者もいます。
こういう状態になると、
彼らは、自己選択をすることを
拒むことにもなりかねません。
これはいけませんね。
だれでも、選択する際に、
間違うことはあります。
間違ったら、次はどうしようかと
考えればよい訳です。
心配しすぎも良くありませんし、
怒ったりして、その人の行動を
否定するのも良くありません。
自己選択・自己決定は、
簡単ではありませんし、
何度もしていくことで
失敗も減っていくものです。
ですから、
彼らのペースで、
自己選択・自己決定ができ、
もし間違っても
次につながるものになるよう、
支援をしていきましょう。
間違っても、
これによって、
機会がなくなる方向に
行かないようにしましょう。