福祉施設や特別支援学校など、
知的障害・自閉症の方を
取り巻く支援者のなかで、
発達障害と思われる職員が、
勤務する割合が増えてきています。
発達障害と思われると書いたのは、
障害者枠で入ったわけでもなく、
一般で入って、日々一緒に勤務をする上で、
周囲の反応が、
「発達障害なんじゃない?」
という気づきがあっただけで、
ご本人から発達障害と申し出が
あったわけではないということです。
ですから、
ご本人に、「障害」の認識はありません。
いわゆる、グレーゾーンとなります。
さて、このような場合、
他の職員からは、
どんな風に思われているのでしょうか?
・仕事ができない
・利用者(生徒)の変化を見ていない
・一人の利用者にばかり接して、
全員の利用者を見ることができない
・言われたことだけしかやらない
・まわりの脈絡に反しても、
自分のやりたいことだけ押し進める
・指示が入らない
など、支援(教育)する上で、
まわりの職員がイライラする事態です。
最初から「障害がある」と分かっていれば、
対処の仕方も変わってくるのでしょうけど、
いろいろ職場内で「事件」が起きたり、
上司の指示命令がきけなかったり、
チームがやっていることと、
全く違うことをしていたりするので、
まわりがおかしいと気づくのが最初となります。
そして、障害がある人の支援だけでなく、
この仕事ができない人も
面倒も見なければいけないのは
嫌だという感情が起きてきています。
さて、こういった場合、
ご本人は障害がわかっていませんので、
まわりだけで、あれこれと探ってみたり、
仕事がうまく回るように、
事件事故が起きないようにと、
配慮をしているだけの状態になります。
でも、ご本人は、
なんだか、周りが変だとか、
思うようにやらせてもらえないという
感覚になっていくようです。
たとえば、ご相談があったグレーゾーンの方は、
病院で働く人でしたが、
なんとなく、先輩と
うまく行っていないよう感じていましたが、
かといって、ご本人自体が、
何かに困っている感じもなく、
怒られてばかりいるけど、
自分は、何で怒られるのかわからないという
状況でした。
診断を受けたわけでもなく、
発達障害かもしれないと
わかったことで、
ホッとしたといっていました。
そして、病院の中で、
まわりを怒らせないように
どうやればよいかも
システム化して、
スケジュール化もしました。
今も、病院で働いています。
(他の病院には移りましたが…)
さて、ここから、
皆さんの専門領域を発揮しましょう。
その方は、やめません。
今後も一緒に仕事をすることになります。
「発達障害」の人と仕事をしていると
思ってしまったほうが、やりやすくなります。
まず、あなたの感情を、
「一緒に働くその人は、支援がいる人だ」という
認識に変えましょう。
そして、あなたの支援がうまく行けば、
力を発揮する人ということを認識することです。
その職員にどんな支援が入れば、
仕事が回るでしょうか?
その方の「障害」を
ご自身にも理解していただいたほうが
良いと思われますが、
これは難しそうだから手伝うよ。
これは得意だだから、みんなの分もやってね。
というふうようなニュアンスで
言えませんでしょうか?
そこから徐々に障害を気づいていただくということです。
(実は、私なら、発達障害っぽいねといいます)
そして、ここができないけど、
どう支援して行ったらできるようになるかを
お互いもつ情報で照らし合わせたり
突き合わせることです。
そして、その人の「障害」に対して、
だれかが肩代わりでやる事であったり、
やれる方法や
やる部分を決めていくことです。
隠してやっていることで、
ストレスだけが
あなただけにかかる状況はよくありませんし、
「障害」があることを、
まわりだけが知っている状況では、
この場合は状況改善になりにくいです。
「障害名」ではなく、
あなたはこういう状況があるので
サポートしますというニュアンスを
伝えることです。
もちろん、障害認定を受けるよう
強要することではありません。
職場はこういうことをするところである。
その時に一人ひとりの職員の仕事は、○○である。
それをするために、
あなたは○○をして、
私は、△△をする役割分担でやりましょう!
など、
理論化、システム化することです。
否定ではなく、できるだけ肯定で話します。
良くないかも…のような伝え方ではなく、
良くないこと、良いことをはっきり伝えることです。
オブラートに包むようでは伝わりません。
箇条書きの方が伝わります。
言葉よりも文章でお願いします。
あくまでも、
その人には仕事をしていただきます。
できること、強みは活かしてください。
できないことは「障害」があるからです。
「障害」があっても、
そこにどれだけの支援体制が取れるとか、
他の方法であれば、
できるようになるとか、
まさしく、利用者と同じ「支援の視点」で
考えることです。
皆さんは専門家集団ですから、
まず、障害と支援という部分を考えてください。
怒りたくなる部分があるのは、
自分の仕事が増えることに対してだと思うのです。
自分の負担の前に
相手への支援を考えていただけると、
ありがたく思います。
なんでもできる人ばかりではありません。
これは障害があろうとなかろうと。
できることをどんどんやっていただければ、
あなたの仕事も楽になります。
ただ、利用者に迷惑のかかる行為はいただけません。
でも、その行為が利用者に
迷惑のかかる行為と
想像できていない訳ですから、
迷惑かかる行為であることを説明してください。
理論的にです。
感情論ではありません。
だましたりはぐらかしたりではなく。
するべきこと、してはいけないことなど、
明確に。
システムの中で、
その人のやれることが発揮できれば、
強い力になります。
その人ができない部分も
みんなと同じように求められるから、
できないという評価に
なっているのです?
全ての職員(教員)が、
同じことをするというシステムを変えましょう。
できることを充分にしてもらうことです。
もちろん気づいた職員だけで
抱える問題ではありません。
あなたがつぶれる可能性もあります。
そして、エンドユーザーの利用者にも
迷惑がかかる可能性があります。
管理職にも気づいていただき、
その職員が働きやすくすることも含めて、
対処していきましょう。