自己選択というスキルがあります。
知的障害がある人たちは
その機会がないと、
「選ぶ」という経験数が増えていきません。
最初、なれないうちは、
2つのうちどちらにするか、
選んでいただきます。
リンゴとミカン
スパゲッティーとカレー
散歩とカラオケ
などなど、
選ぶ機会は、いくらでも作れます。
ふたつで慣れてきたら、
3つにする。
3つで慣れてきたら、
5つにする。
そのようにしていると、この人は選べる人となり、
支援は必要ないような感じに見えてきます。
でも、5個が10個になった時のわからなさや、
10個が20個になった時のわからなさが、
彼らにはあるのです。
例えばメニューを見て、
何ページにもわたっていると、
わからなくなったり、
写真がついているものと
ついていないものであれば、
写真の中でしか選べなかったりします。
困難さが伴うと、
結局は、いつもなれているものしか、
選べないこともあります。
さて、レストランなどで、
多すぎて、わからなくなっている場合は、
お肉か魚かなど、大枠で選んでから、
その種類のページの中で選ぶなどの
2段階を使うこともあります。
そうすれば、
全メニューの中から選ぶことができます。
これを、メニューを渡して、
「はいどうぞ」となると、
どれにしてよいかが
わからなくなる人もいます。
テーマパークなどは、
インターネットで、
全体像を把握すれば、
何に乗りたいなどの気持ちの
事前準備にもなります。
そして、当日はスムーズに
選べることにつながります。
選べないのではないのです。
選び方がわからないのです。
ですから、選択に困っているようであれば、
少し介入して、道筋をつけます。
親子だと、
好きなものを知り尽くしているので、
「こっちにすれば?」などと
誘導してしまうこともあるかもしれませんが、
「好きなもの」と「選びたいもの」は違います。
好きなものでも、
今日は食べずに、別なものにしようと思う気持ちは
誰にでもあります。
そして、
選ぶことは大事な自立の1歩ですから、
充分に経験させていただきたいところです。
彼らの中には、
これ以上無理!という数字があります。
3個の壁、10個の壁など、人それぞれです。
いきなり、突き放すことなく、
その壁をすっと通り抜けることができるよう、
支援をしていくことは、
きめ細やかさの部分だと思います。
段階を経て選んでいくという支援を
入れてみたいですし、
その人にとっては
「これ以上が無理(障害)」
という部分であれば、
支援者が「それ以上」に固執する必要はありません。
きめ細やかさがあれば、
相手が多くのものであっても、
その中から一つを選べるようになります。
それは、選ぶ力のための練習だと思ってください。
そして、人生の分岐点で、
選ぶということができるようになっていきます。
ちなみに、進路など大きなものの場合は、
メリットデメリットを
充分に伝えるなどしてみてくださいね。
そして、一つ(A)とひとつ(B)の中から選び、
選んだもの(AかB)と他のもの(C)
の二つの中で選び・・・
と、やって、
最後には一番気に入ったものひとつを
選んでいくこともできます。
決め手は、彼ら一人一人に通じる選び方と
わかりやすさの段階です。
様々な場で小さいころから始めていきましょう。
そして、選んだものは支援者が否定しないことも併せて、
心がけておきましょう。
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「その他という選択」
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