自分がほしい答えを質問していませんか?



「おいしいですか?」
「おいしいですよね?」

食事支援の時など、
言ってしまいがちな質問。

しかも、いろいろな職員から、
次々聞かれて、
「おいしい」と言いたくなくても、
言わざるを得ない感じ…

支援者がこのような質問を
知的障害がある人に投げかける時に、
支援者自身が何もイメージしていなくても、
こころの中で、
その質問には、
その質問を肯定するような
答えを待っている場合があります。

「行きたいですよね?」
「やってみたいですよね?」
「待っていられますよね?」

「お家で言えますよね?」
「忘れずに覚えていられますよね?」

「もうやりませんよね?」
「わかってますよね?」
「もうパニックにはなりませんよね?」

色々な質問があります。
この手の質問は、
質問をした側が、
その質問に肯定的に答えてほしいときに
使われるものです。

「行きたいですよね?」
 →「行きたいです」
「やってみたいですよね?」
 →「やってみたいです」
「待っていられますよね?」
 →「待ってます」

「お家で言えますよね?」
 →「言えます」
「忘れずに覚えていられますよね?」
 →「覚えられます」

「もうやらないですよね?」
 →「もうやらないです」
「わかってますよね?」
 →「わかってます」
「もうパニックにはなりませんよね?」
 →「もうしません」

というような感じでしょうか?

もし、質問を否定するような答えが返って来たら、
もう一度聞き直してみたりして、
「え?そうなの?」などと言って、
自分の質問に、
絶対に、肯定的に、
答えてほしいと思っている
支援者も多くいます。

そうしてくれないと困るからです。

でも、知的障害がある人の感情は、
支援者の思っていることと
同じとは限りません。

これは、質問の仕方が、
支援者が中心になっているからです。
でも、よく考えてみてください。

彼らが彼らの人生の主人公なのです。

あなたの思っている感情と、
違う感情を持っている彼らを
否定しないことです。

ですから、
質問を変えるべきです。

「この料理、おいしかったですか?おいしくなかったですか?」
「行きたいですか?行きたくないですか?」
といった感じです。

自分の感情に即したほうの
質問だけをする事は
よくありません。

相手の感情を無視せず、
どんな感情でもOKであることを
後押しするような質問に替えましょう。

彼らの人権。
こんな小さなところからも、
人権が守られているのか、
守られていないのか、
見えていくものです。

彼らの感情に寄り添いつつ、
自分の感情を抑えつつ、
質問していきましょう。