知的障害がある人の
個別支援計画などを作る際に、
「ニーズ」というものを
私たち支援者が考えます。
考えるとしたのは、
「ニーズ」というものが、
ご本人から、直接的に出てくることは、
あまりないと思っているからです。
「主訴」は、よく出てきます。
この、「主訴」というのがまた、
ニーズかと思ってしまい、
私たち、職業的支援者を
悩ますものですが、
主訴から、ニーズというのを
割り出すことが、
できる場合もあります。
ですから、何がしたいのか、
何に困っているのかなど、
主訴を聞くことは重要なのです。
さて、このニーズ。
どうしても、主訴という表面だって出てくる言葉を
直でとらえてしまいがちなのですが、
そこから、ニーズに行きつくまで、
どんな風に解釈をしていけばよいのか。
私は、
彼らに質問をすることにしています。
主訴で上がってきた言葉から、
関連付けたことを伺ったり、
普段の生活の中で気にかかることを聞いてみたり、
どんな生活を望んでいるかとか、
できるようになるとよいことは何か、
お手伝いすべきこと(支援すべきこと)は何かと
伺うことをします。
また、
その言葉の真反対のことを思い浮かべます。
例えば、「死にたい」は
「生きたい」と思ってみます。
言っていることを、
実現したいわけではないことがありますから。
「殺したい」となれば、
それくらい、嫌なことが起きたことを考え、
その苦痛がなくなるためにどうすればよいかを
また考えます。
職員の顔色を見て、
言っていることではないかとも疑います。
遠慮して、
よい人を演じて言うことがありますので、
「○○をやりたいです」と言っても、
「本当にやりたいですか?」
と聞くと、
本当はやりたくないことを
言っている場合があります。
できないことを「やりたいです」
といっている場合もありますね。
普段の様子から、そういうことは、
ニーズではない場合もあります。
誰かからできるように
しなければならないといわれていたことが、
言葉として現れることもあります。
でも、将来的に見ても、
やったほうが良いのであれば、
ご本人の考えているペースよりも
緩やかにすることもあります。
そうです。
ニーズは将来をも見ていくことです。
できるようになったほうが良いことは、
ひとりでというパターンと、
支援者とというパターンもあります。
また、困っていることの解決もあります。
このことを解決すれば、
楽になることであれば、
早急に解決するための支援が必要でしょう。
そういった、普段の様子から、
ニーズを割り出していく作業なのです。
ですから、ご本人に言葉がなくても、
ニーズを私たち支援者のほうで予測し、
設定できることになります。
言葉がある人は、
あえて、言葉通りに
取らないようにしていくことも
大切です。
様々な言葉に迷わされず、
かといって言葉がない人が、
ニーズがないのかというとそうではないので、
その人の日常や背景をよく読みとることです。
言っていることは本心かどうかも
日常からでてきます。
反社会的な言葉を言っていても、
それが易しさの表現だったりします。
その言葉を言ったご本人の
気持ちに寄り添うことです。
何でこういったのかな?
何を考えているのかな?
本当は何がしたいのかな?
違うことでも大丈夫なのかな?
これよりもっと重要なことがあることに
気づいているかな?
そんな質問をご自分が考えるために
投げかけてみてください。
主訴からニーズが、
わかってくる瞬間があります。
相談支援専門員でも、
ここがつかめない人がいますし、
サービスにあてはめようとする人もいます。
サービスに人を当てはめるのではなく
ニーズにサービスを当てはめる方向で、
頭を柔らかくして、
考えてみましょう。
ニーズは、
その時だけで完結するものではなく、
将来を考えていくものですから、
その人の人生を想い、
こんなことが支援出来ると、
今以上に幸せになるだろうなあと、
いう気持ちで、
じっくり考えてみましょう。