「ちゃんと」という言葉を使ってはいけない



「ちゃんとやりなさい!」
そういうことば、よく聞きます。

もしかしたら、あなたは、
言っている方かもしれません。

言っている場面は、
上司から部下へだったり、
大人から子供へだったり、
もちろん、支援者から知的障害がある人へだったり、
そういうシーンになります。

たまには、お子さんから親御さんへ、
「ちゃんとご飯作ってよ~」なんて
言うのもあるかもしれませんが(笑)

さて、この「ちゃんと」という言葉を
分析してみようと思います。

これは、言った人の頭の中で
考えている状態があって、
その思っている状態と
違うことをしている人に対し、
自分の思っているように
やってほしいと言っている場面です。

何気なく言っている言葉ですが、
分析するとそういうことなのです。

さて、
もし、あなたが言われた側だった場合は、
どう思うでしょうか?

「私は、ちゃんとやっているのに!」

と思うことも多くありませんか?

つまり、この「ちゃんと」という言葉は、
その人その人で、基準が違うのです。

例を出してみましょう。

「ちゃんと片付ける」

この時の「ちゃんと」は、
人によっては、
床に何も置いてない状態だとします。
また、別な人の「ちゃんと」は、
自分が座ったままで、
何でも手に届くところに
物が置いてある状態だとします。

床に何もない状態が、ちゃんとしていると
認識している人から見れば、
何でも手に届くところに物がある状態は、
散らかっている状態になり、
「ちゃんと片付けなさいよ!」
となりますが、
言われた方は、
「ちゃんと片付けている状態だ!」と
思って言葉を受け止めます。

立場を逆転させてみると、
わかりますよね?
言う方、
言われた方、
認識が違うのです。

さて、こんなシーンを分析して、
なぜ、このブログで書いているかというと、
自閉症の人など、
コミュニケーションに障害がある方には、
より具体的な言葉を使うことが
望まれるからです。

「ちゃんと」のような、あいまいな言葉は、
その人の頭の中にあるイメージの言葉で、
具体的な状態ではありません。

たとえば、「ちゃんと片付けなさい」といった人の頭の中には、
「本は本箱にしまおう」というイメージでしたら、
「ちゃんと片付けよう」という言葉で伝えるのではなく、
「本は本箱にしまいましょう」の方が
言われた方もイメージできますよね?

これが「具体的に」と言うことです。
そして、そこを省くために、
相手に伝わらないだけではなく、
自閉症の人であれば、
パニックになってしまう事もありますし、
親子関係などでは、
大喧嘩になったりしてしまうこともあります。

あいまいな言葉を使わないようにして、
具体的な言葉を使うことで、
こちらの言いたいことも
相手に伝わりますので、
「ちゃんと」という言葉を
「具体的な言葉」に変更してみてください。

また、「たくさん」
「ちょっと」などの言葉もあいまいですし、
「ふつう」と言う言葉もあいまいです。

自分の頭の中にあるイメージの
具体化に心がけましょう。
そして、「ちゃんと」よりも
伝わる言葉を使っていきましょう。