説明しても理解してもらえない理由



知的障害がある人に、
支援者が何かを説明する場面は、
必須ですね。

その時に
1回で理解してくれる人のほうが
少ないと思いませんか?

それに、
「わかった」といいつつ、違うことをしたり、
次の日になっていると忘れていたり、
このやり取りで、
「なんでわからないの!?」など、
言葉を荒げる支援者も
多くいます。

こう書いている私も、
そういう気分になることもありましたが、
最近では、
「そう解釈したかー」
と、笑ってしまったり、
自分の言葉の伝わらなさに、
自問自答することが
まだまだあります。

彼らとのやり取りを、
楽しめるようになると、
ちょっと、こころも楽になると思いますが、
現場は、そうではないと思いますので、
どうして、彼らが理解しないのかを、
考えていきましょう!

まず、あなたの言葉は届いていません。
それは、あなただけにわかるように
話しているからです。

彼らがわかる言葉は、
それぞれが違うことと、
こういう言葉ならわかりますよと、
どこかに説明書きが
あるわけでもありません。

ですから、支援者は、
その辺りを確かめつつ、
話しをしなければならないのですが、
どうも、彼らは、
私たちの言葉がわからない状態にもかかわらず、
わかった様子を見せることがあります。
「はい」とか、
「わかりました」と言います。

そこに私たちは、「わかってくれた」と
解釈をしてしまうのです。

それは、わかってもらいたいからです。
それに、わかって当然だと
思っているからかもしれません。
自分のコミュニケーション力を
過信しているかもしれません。

自分の隠れた気持ちが、
そう思い込みをさせるようです。

でも、わかっていない人は多くいます。

その場を早く終わらせたいなどというときや、
「はいといいなさい」と教えられたのか、
不適切に「はい」と
返事をしていることもあります。

わかりやすい言葉
わかるような言葉のスピード
そして、流れ、消えてしまう言葉だけを頼ることなく、
記憶に残るために視覚的に話すこと
つまり、文字や絵などを使うことです。

そして、本当にわかってもらえたのかどうかを
その都度確認するくらいの
関わりを持った方が良いです。

さらに、あなたの話に関心がない人がいます。

これは恋人同士でも、
お友達同士でも起きます。

スポーツが大好きな男性と
ブランド物が大好きな女性がいたとします。

いくら男性が、スポーツの話題を話しても
女性には興味がありませんから、
全く聞いていないでしょう。

そして、その逆もまたしかり。

その人が関心がないことを
たくさん話したところで、
聞いていません。

知的障害がある人が、
その事業所に来ているから、
そのことに関心があるべきと思っていませんか?

たとえば、活動を好きになってほしいとか、
与えられた作業を
不良なく作るとか、
あなたが決めていませんか?

「興味がない」「やりたくない」が言えなければ、
仕方なくやっているのですから、
説明などにも興味もなく、
聞いていないこともあります。

どうしても、
支援者が優勢を保ったうえで、
彼らを見るので、
「話を聞いてくれない」
「理解しない」
「わかったふりをする」
「理解しているのにできない」
などと、
支援者主体の言葉で、
彼らを批判するのです。

彼らを主体にしたならば、
「興味がないことをさせないでよ」
「難しすぎてわからないよ」
「言われたことは、消えてなくなっちゃうから紙に書いてよ」
「私がわかる言葉をまだわからないの?」
などと言い返したくなってもおかしくないのです。

でも、彼らは言い返せないので、
あなたが正しく、
彼らが間違っているように
解釈されているのです。

さらには、それを支援者同士で、
あの人はダメだとレッテルを張り、
人の話を聞けない人だと決めつけ、
批判されることにもなりかねません。

ここまで来ると集団で
人権侵害を犯しているようなものです。

あなたのコミュニケーションを
見直して、
彼らが主体となるような解釈をしてください。
そうすると、
ちょっと面白いことが起きます。

自分が言ったことの解釈が、
彼ら独特の解釈になりますから、
説明したあとに見ていましょう。

そして、こちらの思うように
やっていただけなかったときは、

「そうきたかーそういう解釈にもなるよねー」
「やっぱりわからなかったよねー」
「どんな風に言えば、
解釈できるか、もう一度チャレンジ!」
など、ポジティブに解釈ができますし、
こちらもさらに工夫ができます。

笑えますよ。
自分の言葉の伝わらなさを。

彼らが理解しないのは、
彼らが悪いのではありません。
私たちの努力で変わっていきます。

さあ、彼らの「理解の世界」に
チャレンジしてみましょう!
もちろん、ポジティブに、
自分にどんまい!って思いつつ。