言葉を受け取る時の間違い



知的障害がある人が、
様々言葉を発しています。

その言葉の意味を
そのまま取ってよいのか、
それとも、言葉以外の
解釈をした方が良いのか
考えていますか?

そのまま取るか?
解釈を変えるか?
この判断基準が、
実は、あなたの感情にも
左右されていることもご存じですか?

まずは、言葉通りに受け取る
まちがいからお話しします。

彼らは、言葉を選んで話す事もありますが、
多くが、その時の感情で、
話す事があるのです。
将来を見越して、
予測を立てているわけではなく、
今思っていることだけで話す傾向があります。

また、支援者の感情を敏感に察して、
支援者の感情にあうように
話してしまうこともあります。
これは、怒られたくないという心理も
働いています。

また、答えたことは、
その時の真剣な気持ちで、
答えてはいるものの、
あとになったら、
もう忘れてしまって、
その後、うそをついたかのような
発言になることもあります。

「やりたいことは何ですか?」
のような質問でも、
今、見えたことを言ってしまったり、
一番上に書いてあるものを選んだり、
その場の雰囲気や
脈絡に関係のないことを言ったりもします。

これらの事例だけではなく、
まだまだいろいろな
お話になることでしょう。

その時に、
本心で言っているのか?
それとも、
そうではないのか?
そのあたりの見極めは、
支援者がすることになることでしょう。

これは、言葉があるなしで、
考えることではなく、
言葉があっても、
本心を言わない人もいますし、
言葉がなくても、
表情から読み取れる場合もあるので、
支援者の「読解力」が必要にもなるのです。

ですから、
まず、そのまま受け取らずに、
「本当かな?」と思って、
「他に考えていることはありますか?」
などと質問をしてみたり、
ちょっと違うニュアンスや情報を伝えることで、
変わることも確認します。
また、メリットデメリットを伝えることでも
変化しますので、確認をしていきましょう。

表出した言葉ばかりを
ストレートに受け取らないで、
本来受け取るべきものを
受け取ってください。

そして、次に、
あなたの感情で、
受け取り方が変わることもお話しします。

あなたの意に反した言葉を発せられると、
あなたの感情が動き、
イライラしたりします。
すると、その人が本心で言ったにもかかわらず、
本当は違うのではないかと
思い、確認してしまうことがあります。

これは、支援者自信で分かっていないだけで、
けっこうやっている支援者が
多いのではないでしょうか?

そういう支援者の態度によって、
彼らは、自分の本心ではない折衷案を
申し出るのです。

彼らが言った言葉が本心だったのにも関わらず、
操作をすることにもなりかねません。

「本心であってほしくない」と思ってみたり、
「あれは本心ではない」と解釈してしまうのです。

つまりあなたの常識にあてはめることで、
「こんなことは考えないだろう」
だから、
「言ったことは、
間違っているだろう」と
解釈するのです。

これがけっこう危険で、
せっかく表出したにもかかわらず、
「違うよね?」
などと質問をすることで、
相手が意見を変えてしまうのです。

この場合は、
あなたの感情を平常心(フラット)にして、
その言葉を受け取るべきです。
もちろん、先ほど書いたような
確かめることもしましょう。
かといって、全面的に否定しないことです。

たとえば、
あなたの表情が動くことで、
以下のようなやり取りになる場合があります。

「カレーが食べたい」
「え?カレー?(カレーを選ぶはずがない)」
「じゃあ、てんぷら(え?違うものにしないといけないか?)」
「はい(やっぱり天ぷらだろう?)」
のようなことです。
あなたの表情が、
本心を変更している場合もあるのです。

だから、注意が必要なのです。

さて、ご本人と支援者の立場は、
ご本人が、ご自身を下に見ることも
多いので、
より良い言葉のやり取りで、
本心が表出できるよう、
ご本人が主体であることを
いつも心にとどめておき、
言葉が、本心でも本心でなくても、
私たち支援者が、
正しく受け取れるよう、
確認をしていきましょう。

もちろん、支援者が主人公になりそうな、
回答が出ないようにしていきましょう。