自閉症支援:落ち着ける場所づくりをしよう



自閉症の人の支援の中で、
「落ちつける環境づくり」
という視点があります。

彼らは情報処理が困難な人が多く、
たくさんの情報が入りすぎることで、
混乱をすることがあります。

眼から入る情報
耳から入る情報
肌で感じる気温や光

家のなかでは、
自分の部屋があったり、
環境もご本人に合わせられやすいので、
混乱は、施設ほどではありません。

施設は、
ご本人に配慮していても、
支援者の支援や、
ご本人の気持ちと全く関係ないところで、
多数の情報が押し寄せる場面がありうるので、
できるだけ、シンプルに、
ご本人に必要な情報が主となって入りやすいように、
配慮していく必要があります。

そこで、
パーテーションなどを使う構造にすることは、
よくあります。

また、使うものの場所を整理整頓して置き、
ものの場所を固定することもします。

エアコンや窓の位置を気にするべき人もいます。

さて、そういった、環境に配慮して、
その人の混乱を減らす試みをする場合は、
他利用者との関係性も
また、気にしていただきたいところです。

声が嫌いという人もいるのです。
また、相手がしゃべってばかりで、
うるさく感じることもあるでしょう。

そういう人とは離れた位置で、
活動をすることがおすすめです。

ドア付近だと、
皆さんの出入りが激しく、
気になってしまったり、
不安定になる要素は万歳となります。
あまりよい場所とは言えません。

もし、その自閉症の人が、
パニックになりやすく、
嫌いな人から遠ざけ、
安定環境を作るのであれば、
その人のいる位置を含めて、
全体的にいろいろ動かすことになります。

ちなみに、パニックにはなっていないけど、
いつも耳を抑えているような人は、
不安定だと言うこともお忘れなく。

それから、その人は全く
困ったところがなくても、
他の人が困っているために、
その人の位置も動かす場合もありますし、
作業をする上で、
位置を変えなければ
ならないこともあります。

では、どういった位置にしていくか?

まず、今の席で、
支援者が活動中に
その人の席に座ってみてください。

何が聞こえ、
何が見え、
誰が通り、
どんな環境なのかを
座ってみることで、
その人の視線になって感じてください。

嫌な部分を見つけましょう。

思った以上に、
椅子が高かったり、
机が低くてやりにくいこともあります。
そんな部分も意識してください。

椅子に座ってみたら、
グラグラ揺れることに気づくこともあります。
そんなことも不安定要素のひとつかもしれません。

そういった今の状況をまず体感して、
どんな改善をすればよいかを把握して、
そのあと全体を見つつの改善になりますが、
改善をした後も、
やはりそこに座ってみましょう。
改善に関わる全ての職員が座ってみてください。

落ち着きそうですか?

この環境改善を一緒にした支援者の多くは、
にっこりと、
「落ち着くわ~」
と言われることが多くあります。

ぜひ、そこに座ってみて、
自閉症の人が、
どんなにつらい環境にいるのかを把握し、
今までよりも、
彼らにとって、
ここちよい環境に変化させましょう。

ちなみに、この考えは、
電車の中とか、外を歩いているときでも
その人の目線や感覚を気にし、
配慮する事項でもあります。
どんな風に見えているのか、
探りつつ、活動を進めましょう。