自閉症支援:模様替えをするときの手順



自閉症の人の支援をしている事業所で、
様々な不具合があって、
パニックを起こしやすいとか、
配置や動線が複雑だったり、
利用者同士のトラブルなどがある場合、
部屋の家具などの配置換えや
活動場所の変更などを
することがあると思います。

その変更をするのは、
週末の夕方にすることを
お勧めしています。

それは、なぜか。

彼らは、もともと、
変化に弱い人たちだからです。

その変化を受け入れ、
なれていって、
使いこなしていくのには、
利用者・支援者双方が
それなりの準備を
していた方が、よいからです。

1週間が終わる週末に
できれば予告。

そして、週初めに、
いらっしゃった時に、
変更しているとの告知。

そして、その変化を実際に体験する。

体験してなれるには、
時間を充分にし、
繰り返していくこと。

ですから、変化の後に
一番長い時間経験ができる週初めからを
お勧めしています。

1週間くらい様子を見れば、
変化後の不具合も
確認ができますからね。

ということで、変化させるのは、
週末ということです。

では、具体的な所を見てみましょう。

計画を練る

思い立って変更するべきではありません。
職員みなさんで意見を
出し合って実施しましょう。

まず、何がこの部屋の
課題なのかを確認し、
どういう状態にすると、
どんな効果があるのかを
想定してください。

どのように動かすのかも図を
使って考えておきましょう。

週末の予告

帰りがけに
来週初めに部屋の配置が変わっていることを
皆さんに伝えてください。

もちろんご本人にも伝えましょう。

皆さんが帰ってから移動

職員みなさんで動かしましょう。
実際に机等の配置をして、
その方の場所に座ってみることを
お勧めします。
職員が座ったり、
部屋の中を歩いてみたりして、
課題が解決するかを考えてみてください。

落ち着く環境か?
情報が気にならないか?
嫌いな人と会う確率が減るか?
他の利用者と共存できるか?
作業や活動はしやすいか?

そんな視点をお持ちください。

さらに、
せっかく模様替えをしたのですから、
不要なものは、
捨てましょう。

壁に貼ってある古い掲示物も捨てましょう。

週初めの配慮

朝、玄関にご本人が着いた時に、
部屋が変わっていますと、
再予告。
できれば、ご本人に職員がついて、
誘導してください。

部屋に入る時も、
職員の言葉は少なくしつつ、
手を指しながら誘導する感じです。
これは刺激を少なくするためです。

体験

座ったり、活動をしたり、
その中で、他者との関係などの課題が、
減っていくかを
実際に様子を見てください。
ちょっとした不具合があったら、
変更してみるなど、
できるだけ心地よい環境になるように
してみましょう。

さらに、全体バランスも見てください。
この変更によって、
他の利用者に悪い影響が
出ていないかなどの確認です。

1週間の様子を見る
このようにして、様子を見ていき、
落ち着き方に変化が見られたら、
成功と思って大丈夫です。

また、様子を見る際は、
ご本人の後ろから、
あなたの姿がご本人に
見えないところで、
見るようにしてください。

あなたが視界に入ると、
情報が多くなり過ぎ、
不安定になる場合もありますので、
視界から外れることをお勧めします。

さて、この方法で、
様々な施設で行っていますが、
ここまできめ細やかに
ご本人の支援も含めて、
行っていくと
パニックにならず、
安定した状態での模様替えとなります。

もちろん、入所施設でも使えます。

また、ご家庭であれば、
週末というより、
変更すること自体に
ご本人含めて一緒に考えてもいいですし、
一緒に家具の移動などを
していくこともあると思いますので、
上に書いたことを
参考にしながらお家のやり方に
合わせてみてください。

心地よい環境は、
集団の中で得られにくい場合もありますので、
できるだけ、心地よい状態にしたいものです。

彼らの安定には環境も大事ですから、
良い環境を作りあげていきましょう。