できることできないことは、確認できていない



なんでもわかるし、なんでもできるよね!
そういう知的障害の方が、
事業所の中にいらっしゃると思います。

もう、障害者施設の範疇ではなく、
就職できるんじゃない?
一人暮らしもできるんじゃない?
というような感じになる方々もいます。

たしかに、どこが知的障害なの?
という方だっているわけです。

逆に、何もできないよねぇ。
案外できそうでできないよねぇ。
などという方もいます。

でも、施設の中で見せる、
彼らのできることやできないことは、
ほんの一部であると解釈をしてください。

例えば、お金を使う部分が、少なければ、
お金を使うことにまつわる支援が必要な部分は、
支援者にはよくわかりませんよね?

お金と言っても、
日々使うだけではなく、
管理という部分や計画的に使うという部分や、ためるとか、
商品を選択すること、
不用意に契約しないようにすることなど、
けっこういろいろなことがあります。

自販機で、自分の財布からお金を出して、
ジュースを買うだけが、
金銭にまつわることではないので、
事業所の中で繰り広げられる
お金にまつわる行為が、
何でもできたとしても、
それ以外のところに困っていることは見えません。

ですから、実際彼らが困る時というのは、
支援者が、普段見ていない部分です。

別な例ですが、
施設では、作業もうまくいかず、
就職できなさそうなのですが、
実習に行ったら、
施設では確認されていなかったスキルが発揮され、
就職できることになり、
企業にとっての充分な戦力になったということもあります。

つまり、施設では先ほども言いましたように、
見えていない部分がたくさんあるのです。

こういったできること、できないことは、
確認されないことで、困っていることが見えにくく、
もちろんできることが、発揮できなかったりもします。

だから彼らの経験というのは、
私たちにとっても大事な場なのです。
彼らが経験することで、
何かを見せてくれ、
それが困っていることであれば支援を入れられますし、
できることであれば、自立の道にもつなげられます。

いつもと違う日常を提供すること。
それは、普段できることできないことが、
新たな展開をする場面でもあると思います。

そんな彼らのエンパワーメントに
触れる機会でもあります。

新しい、彼らのいろいろな場面を見て、
彼らの人生に必要なのであれば、
適切な支援を展開していきましょう!