与えられたものの中でしか選べない



私たち自身の世界は、経験の中で、
好きか嫌いか、
もっと続けていたいか、
もうやめたいか、
そんなことが決まってきます。

その中で、私たちは情報を自分で取りに行くこともできるし、
違う世界観を持っている友達などからの情報で、
新しい何かを知ることができ、
その中から自分が興味を持つものも
選ぶことができます。
TVやインターネットなどの情報も
私たちの世界を広げるツールとなります。

さて、知的障害がある人の生活は、
まず、自分で情報を取りに行くことが難しかったり、
自分から行動できない場合は、与えられた情報や条件の中で、
楽しみややりたいことをすることになります。

たとえば、ヘルパーさんとのお出かけで、
どこに行きたい?がわからなければ、
行き先をヘルパーさんに任せ、
そこが楽しいところなのか、
そうではないところなのかを
判断することになります。

でも、そこが嫌だからといって、
じゃあ次はどうしようとなっても、
その嫌だったことさえ、
表現できない場合もあるのです。

たとえば、
施設の活動でも、
カラオケとお散歩とどっちがいい?
と聞かれ、
カラオケが嫌いであれば、
お散歩しか選びようがないのです。

それを、支援者が勘違いして、
「○○さんはお散歩が大好きなのね!」となれば、
「お散歩好きな○○さん」という認識になるおそれもあります。

もし、そこに、本当に好きな水泳が入れば絶対にそれを選ぶのに…
カラオケよりましだから、散歩にしているだけなのに…
などという心の声が聞こえてきそうです。

このような場面では、
支援者が選んだものの中からでしか、
彼らは選べない場合も多くありますので、
工夫をしていくべきところです。
ですから、私たちは、もっといろいろな情報を持っているべきなのです。

でも、私たち支援者だって、知っている世界の中でしか、
情報を提供できないわけですから、
多数の支援者と協力し合って、
さまざま、環境を用意すべきですね!

そのなかで、彼らに選択しやすいように
情報を出していく必要もあります。
2つからしか選べない人もいますし、
10個あるとわからなくなる人もいますので、
そういう部分にも配慮して、
新しく経験することや選ぶことをしてもらえる機会を
作ってほしいと思っています。