いくらまで使えるか?赤字にしないやりくり



知的障害がある人のやりくりで、
支援者が問題視するのは、
「お金を使い過ぎてしまう」
ということでしょうか?

中には全く使えない人もいますが、
渡したら使ってしまうということが、
多くの支援者の悩みのようです。

ご本人は、
全く困っていない所で、
支援者の方が困る事例になります。

そして、使い過ぎだからと
支援者から注意を受けるようなことになり、
その時に、
使い過ぎなんだと
わかる人もいるかもしれませんが、
どういう状態を使い過ぎと
いわれているのかも
わからないかもしれません。

このやり方では、
彼らは、使い過ぎの意味も分からず、
自らの工夫もできず、
やりくりの方法がわからないまま、
使えば怒られるという結論だけがわかりますが、
自分で何かができるようになるわけではないのです。

考えることはあっても
具体的な方法は、
どうやってよいのかがわからない。

使い過ぎたから、その分を貯めなきゃと思いつつ、
貯め方もわからないということになり、
困るのかもしれません。

さて、この支援者側の支援の段取りは、
知的障害がある人にはわかりにくく、
先ほども書きましたように、
このままでは、
ご本人にやりくりができるのではなく、
支援者が、いつまでも
管理状態にしなければ
できないだろうと
思い込むことになることでしょう。

しかも、ことが起きてからの関わりなので、
事前に目を向けるべきなのです。

では、どういう方法が、良いでしょうか?

それは、収入から、必要経費を先にひくことです。

非常に簡単で、一般の人でも
多くの人がやっている方法だと思いますが、
それが、ご本人だけでは、
そのための段取りがわからず、
支援が必要な部分となります。

例えば、一人暮らしで、
収入が90,000円だったとして、
食費等生活費・家賃、
公共料金・福祉サービス等の支払いで、
70,000円を使うのであれば、
20,000円は、遊びにも使えます。

そして、様々な支払いの中で、
節約をしたりすれば、
その分、自由に使えるお金は増えます。

これらの場合、
今ある貯金を取り崩すことはできるだけ避け、
月々の収入の中で、やりくりをすることです。

彼らは、目に見えないものは
わからないことが多くあります。
具体的に目に見えれば、
わかりやすくなりますから、
支出されるものを「見える化」することです。

使えないことばかりが、クローズアップされると
生活が窮屈にもなりやすいので、
「○○のために貯める」などの目的を持てば、
意味がわかりやすくなります。

このように、
目的を具体的に持って、
そのためにどんな使い方をするのかを
考えることです。

さらに支出を抑えるのは、
どういったことでできるでしょうか?

一番簡単なのは水道光熱費です。
使わない電気は消す。
水を出しっぱなしにしない。
これだけでも、支出が減っていきます。

買っても使わなかったり、残るようなものは、
考える。
例えば、卵10個買うと残るのであれば、
6個入りを買うなどです。

そして、買ったものは使い切る。
これだけでも、
支出は抑えられ、
お金は増えていくものです。

同じものなら比較して安いものを買うなど、
彼らにできることは徐々に増やしていくと、
自分一人でもやりくりができる人が
増えていくことにつながります。

一人暮らしの人ばかりではありませんが、
お小遣いも同様の考え方です。
今月は何が買いたいか等、
1か月分の買うものを
一緒に考えることもお勧めします。

「余ったらためよう」というのは、
案外できないものです。
気持ちがあっても、
やっぱり手元にあったら使ってしまうのです。

だから、先に振り分けて、
1週間分などで細かく区切ってから、
お渡しすることもお勧めします。

自由に使えるお金を見出す方法を
ご自身が、身につけていただくために
まずは支援者と一緒に練習です。

スモールステップで、
彼らができることに着目しつつ、
支援することをお勧めします。