やりくり支援:1か月の収入を超えないで使う



え?こんなこと?と思われるかもしれません。
当然のことですから。

でも、知的障害がある人には、
1か月の全体を見る力がない場合も多く、
欲しいから今すぐ買うことを繰り返す人もいます。

1ヶ月は31日。
1日、1日は、31回、あることから、
そのことはわかるにしても、
使っている金額を足すこともない場合、
全部でいくらを使ったのか?がわからなかったり、
そのときに欲しくなってしまうことで、
最後のほうに収入以上の金額を
使いかねない事態に陥ります。

31日間を、
バランスよく使うということが困難で、
1週間ずつの金銭管理を入れていないと、
あとあと困るのはご本人ということもあるのです。

公的な金銭管理支援が入らない場合もありますので、
どうやって計算をするか?を
支援者として、
ご本人に言えるとようにしてみましょう。

まず、1か月分の収入からまず引くのは、
家賃や水道光熱費、電話代、町会費、など、
契約などをしていて月々支払いがあるものです。
人によっては定期購読の本や電車の定期、
駐輪場代など、必要なものをひきます。
水道代は2か月に1度の請求なので、
それを1か月分と換算しましょう。

そして、次に、
食費や生活用品などで、
1日にいくら使うかを考えそれを31回分とします。

そこで残ったお金は、使ってのもよいお金ですが、
少しずつは残しておくべきです。
それらを引いたお金から、
季節ごとや長期間で消耗するものにも使います。
例えば、美容室代・洋服・靴など、毎月使わないけど、
何か月かごとに出ていくため、残しておきたいお金です。

これが「貯金」と言われるものです。

冷蔵庫やタンスなど、
大きなものを買うときがあとできます。
そのためにも、少しずつ、
貯金は増やしていきたいところです。

そして、最後に、
趣味などに使うお金です。
趣味などがあると、生活にもうるおいが出て、
そのためにお金のやりくりをしようと思えるので、
趣味や好きなものなどは、
できるだけ充分に楽しめるようにしたいものです。

さて、そうやって大きく分けていくと、
先にマイナスできるものと、日々に出ていくお金と、
貯金と、自由に使えるお金の4つに分けられますので、
使えるお金で、
その月は何をしようかという相談もできます。

この自由に使えるお金が
毎月の収入を超えない部分で使うことなのです。

カラオケに行く
コンサートに行く(予約をする)
旅行に行く
新しい洋服を買う
バイキングに行く
ゲームソフトを買うなどです。

1か月の遊びの計画というか、
先に予定を立てることで、
瞬間的に欲しがらないような手立てとなります。

どうしても欲しい場合は、
貯金を取り崩す相談もありです。
そこまでしてもほしいのかどうかを考えることです。

さて、その時に、裏技があります。

毎日使うお金を、
ちょっとずつ残すことで、
その余りを集めれば、
大きなお金になるということを、
彼らは、なかなか計算ができません。

ここがやりくりなのです。

やりくりは、日々の中で、
余裕を産むので、
買いたかったものがそのやりくりで、
買えるようになる場合もあります。

彼らは、
全体像をつかむのが難しいので、
このような部分に支援が必要なのです。

これは、お小遣いでも同じです。

自分がお小遣いで買うものは何かを親と決めてあると思いますが、
その中で、今月は、大きなものは何に使うかを決め、
あとは1週間ごとに大きく分けておけば、
その範囲で使うことができます。

その中でやりくりすることなのですが、
足りなくなったからと出してあげてしまっては、
お小遣いの意味もないですし、
後々、なくなったら親が出してくれるという意味でとらえてしまうので、
やりくりの力がつかない子になることでしょう。

お金を出してあげてしまうのではなく、
もし、おこずかいが足りないと理解したら、
最初からもう少しお小遣いUPをするほうが、
「自立」方向に行くことでしょう。

1か月の収入の中でやることができず、
借金をしたり人に借りてしまうことも
多く発生していますので、
やりくり支援は小さいうちから、
「ある中で使う」
「残して大きなものを買う」
などの意識をもってもらえるように
支援をしていきましょう。

1か月を想定できると、
やりくりはかなり上手になりますので、
図やカレンダーなどを使って、
説明していきましょう。