知的障害がある人の
作業をしている施設では、
利用者の人たちは
どんな様子でしょうか?
やらされているような状態
無関心
嫌い
意味がわからずやっている
興味がない
もし、一人一人の利用者の人の様子を見て、
こういう状態の人がいたら、
それは、良い作業を提供しているとは
言いづらいですね。
逆に、
こんな利用者の人もいます。
作業が大好き
お金が欲しい
レベルをあげたい
みんなと一緒にやるから楽しい
お客さんと接するのが楽しい
こういう利用者の人は、
実は、
作業をする上での
利用者集団の中のキーマンとなります。
場を盛り上げ、
やる気を見せたり、
楽しそうにしたり、
のりのりでやっている人は、
ある意味リーダー的存在。
特に笑顔で、
「がんばるぞー」と雄たけびを
あげるタイプの人。
ムードメーカーになりますね!
ある施設では、
言葉のない重度の人も
多い所だったのですが、
ボルトとナットの
セット作業を
していた時に、
給食のチャイムが鳴っても
残りの部材があと少しの時に、
ある利用者の人が、
「やっちゃおうぜ!」
と、みんなに声をかけて、
言葉のない人たちも、
「おー」
とか、
「あー」
とか、答えて、
あと少し残った部材の組み立てをして、
出来上がってから
給食に行くグループがありました。
他の皆さんは、
どんどん給食に行くのに、
その何人かだけが
そうしていたのです。
職員もやらなくても良いとも
伝えているのですが、
「これだけだから」とやっていました。
作業に、
重度とか軽度とかは
関係ないと思っています。
今、自分がすることを、
自分で決めるか決めないかだと思います。
そして、私自身が
このグループに学んだのです。
これは、職員でもそうなのです。
あとちょっと思えば、
やることだってあるわけですからね。
やると決めるのは、
ご本人ですが、
そう決めるかどうかの情報は、
職員からの伝え方も
あると思うのです。
その後、勤めた施設では、
大きな施設でしたが、
午後になると寝ている人が
目立つ施設でした。
先ほど書いた施設よりは
軽度の人たちでしたが、
どうも作業に対して
やりたい気持ちがあるようには見えません。
様々な作業を請け負っていくと、
納期が短いものもあり、
ここの施設の場合、
この作業が得意そうな人を
選抜メンバーとして、
集めました。
今からする仕事を説明し、
リスクも説明し、
「このメンバーで
やって行こうと思うけどどう?」
と、投げかけます。
すると、
「やる」と意思表明して、
がんばる!
工賃稼ぐ!
と、前向きになっていくわけです。
作業は、
単に提供物なので、
もちろん人の気持ちは
大切なのです。
やるかやらないか、
自分で、決めてよいわけです。
でも、もしやると決めたなら、
やらない人がいるところでやるよりも
やる人のそばでやるほうが、
意識が高くなると
感じています。
だからムードメーカーは、
必要なのでしょう。
そして、やり終わった時も、
みんなで喜んで、
拍手して、ねぎらって、
ミッションを
遂行したチームを解散します。
すると、その瞬間に、
「また忙しい仕事が来たらやるから」
と声が上がり始めます。
自閉症の人の場合は、
そういう表現はしないまでも、
達成感があるように
見受けられたものです。
その時に、
一人一人確認をしておき、
次の急ぎの仕事の時にも
声をかけたものです。
これが、
「勢いのある作業チーム」
になるのです。
自ら、
作業に取り組もうとしている
一人ひとりによって、
構成されます。
もともと
そういう人ばかりではなくても、
職員から、
作業をすることのメリットや、
もちろん作業を
しなくても良いことも含め、
伝えていくことだと思うのです。
その中で、
ご本人が選べばよいのです。
やるのか、
やらないのか。
これこそ、
自己選択、
自己決定の世界です。
やることの楽しみや意味を
ご自身が考え、
やると決めた時の強さが集まると
大きな力にもなります。
もしかしたら、
彼らは、もともと、
好きでこの作業を
していない可能性もあります。
でも、そこをカバーするのは、
この作業をすることで、
得られることがあることなのです。
実際に業者(お客様)から感謝されたり、
工賃が上がれば、
わかりやすい指針となります。
何が彼らを動かすのかは、
一人ひとり違いますが、
それはお金であったり、
役割であったり、
他の利用者との楽しさであったり、
頼られることや
自分の存在の確認や
できたことが
増えることかもしれません。
そういう何かが、人を動かすことは、
誰にでもあることなのです。
先ほど書いた、
「寝ていた人」も、
こういう機会を通し、
「寝ないで作業をするほうがいい」を
選べるようになりました。
これが自分で決めたことだと思います。
どちらでもいいのです。
彼らが決めることです。
でも、
作業をすることで、
ここちよい何かを感じることができれば、
やるのだと思いますし、
勢いもつきます。
勢いがつけば、
実は、彼らの強みが活かされますし、
作業量が増え、
工賃も上がるのです。
職員が、
「やらせ」を主としたり、
職員自身が作業することに徹していても、
だめなのです。
もちろん、
職員が支援をしつつではありますが、
作業をやろうとするのは、
ご本人たちですから、
職員は、
そこを勘違いしてはなりません。
勢いにつながる
作業現場になるために
私たちは何ができるのか?
勢いある方向にサイクルが回転するように
応援団に徹して、
支援をしていきましょう!