日中活動系の施設で、
工賃を時給や日給で一律にしているところも、
評価給を導入しているところも、
いろいろあると思います。
ちなみにうちは、地域活動支援センターですが、
働いた時間数で、金額が変わる方法を取っています。
ですから、評価給ではありません。
時給換算です。
工賃の考え方の中に、
利用者側の感情があまり入っていないと思いますが、
利用者からのお話しを通して、
工賃について考える材料にしていただければと思います。
ある身体障害の施設では、日給換算で評価給なしの支給でした。
来れば、工賃が発生する。
仕事がコンスタントにできる人もいれば、
ほとんど仕事ができない人もいて、
仕事ができる人からは、不満の声がありました。
そこで、仕事をしている時間で支払う、時給換算にしたのです。
この時、コンスタントに仕事をしている利用者から、
こうなってよかったというよりは、
当然のことだよね?という感じの反応だったのですが、
その方たちより喜んだのは、
ほとんど仕事ができない利用者のお一人だったのです。
障害の状態により、
なかなか身体が動かないのです。
他の人が20やるところを、1くらいしかできない方です。
でも、一生懸命やっていました。
工賃の計算方法を変えた時、
その利用者の方から、下記のようなお話をいただきました。
仕事をしたくても身体が動かない。
でも、たくさんやっている人がいて、
その人と同じ工賃をもらっているので、
申し訳ないなと思い、
がんばらなければとも思い、
身体が痛くても一生懸命がんばっていた。
でも、体が動くときと動かないときの差が激しく、
やらないでいいなら、やらないでいたい日もある。
だから、仕事をしなくてもいいなら、
ゆっくりお庭で過ごして、空を見て、体を休めることができるから、
仕事をしないと、工賃がないって言う方法になって、ホッとした。
だって、私は休むことができるから。
ん~、これはびっくりでした。
こう考えていたことにもびっくりだったのですけどね。
時間計算になると、これまでより多くなる人は良しとして、
少なくなる人には、職員として、
なんだか後ろめたさもあったのですか、
工賃をどちらにも正しく支払うことが、
やっぱりどちらにも喜ばれる結果になるということなんだと思います。
そんなことを、利用者の方に教えていただいた気がします。
もう、20年も前の話ですけどね。
その後、ある知的障害者施設で、
ある作業を一人の利用者だけがやっていることがあり、
その分を自分に全部くださいと言われたこともあります。
他の作業のことや、全く一人でやっていない状態のことなど、
説明して、今まで通りの支給方法に納得されていました。
お給料について、ご意見ってほとんどないと思うのです。
その中で、貴重なご意見をいただいたなぁと思うのです。
そう言うこともあり、
この後も、いろいろな施設の職員として、
評価給なども考えてきました。
評価給の良しあしもありますしね。
本当にいろいろな考え方がありますが、
障害状況やそれによるできるできないで
分けるべきではないとも思っています。
それぞれの施設の利用者の状況を把握して、
全体の収入をどんな支給の仕方にしたらよいのか、
知的障害の利用者の皆さんには、
わかりにくいところもあるとは思いますが、
工賃支給の仕方で、
お互いが不幸にならないかという視点も持ってもよいと思います。
工賃というものを考えると、
時間が必要ですから、
来年度何とかしたいとお考えの施設さんは
そろそろ、考え始めてみてはいかがでしょうか?