やめさせたい事への支援としてのやめさせ方



知的障害がある方に、
何かをやめさせたいときに、
理由をつけてやめさせようとする支援者がいます。

この理由が、確かなものであれば、
納得もしやすいかもしれませんが、
そうではないことも多く、
また、他の人がやっているのに、
なぜ自分だけそれをしなければならないのかと、
思いたくなるようなこともあるので、
この理由づけは効果がないと思っています。

例えば、
「赤信号を渡ると車にひかれるから、わたらないのよ」
と、世の中のお母さんたちは子供に言っていますよね?
これを、知的障害がある人にも言うことがあります。

さて、本当に、
赤信号を渡ると、
車にひかれて死んでしまうのでしょうか?

絶対ではないですね。
しかも、ほとんどの人は死んでいません。
なぜなら、車のいない時をねらってわたっていますし、
車の運転手も、気をつけていますので、
赤だからといって、人をひきません。

タバコはがんになるとか、
ゲームは目を悪くするとか、
そういう理由をつけて、
やめさせたいようですが、
この手の理由は、正解のように見えて、
正解ではないことも多いのです。

実際、自分がやろうとしていることや
大好きなことを止める理由として、
この手のことを言われると、
反発したくなりませんか?

すこし、考えてみてください。

これらの言葉は、
誰でも言っている言葉です。

「定型句」なのです。

誰かが言っているから、
効果があると思って
言っているだけであり、
効果があるのかどうかも検証されず、
感情に任せて、
やめさせようとするときに
使われる言葉です。

その手の言葉は多々あります。

でも、効果がないのは、
「意味を持たない」からです。

まず、
本当にやめさせたいですか?
やめさせなければなりませんか?
そこは考えてほしいのです。

そして、
絶対にやめさせるべきことであるなら、
この手の言い回しは効果がないことを
ご理解ください。

そして、やめるべき理由は、
ご本人が、
考えたほうが良いのです。

なんで赤信号を渡ったらよくないのか?
人が渡っているのに、なぜよくないのか?

タバコを吸うと、
どんなことが起きるのか?

など、聞いてみてください。
わからないと言うことであれば、
インターネットなども使い、
ご本人に見せつつ、
メリットデメリットを伝えるようにしましょう。

そのなかで、自分で考えられる部分が出てきます。

このことは、自分にとって、
してよいことなのか、
しない方が良いのかを考えられることでしょう。

ただし、ここまで考えたとはいえ、
ひとりでやめられないこともありますので、
どういう支援があったらやめられるのかを
話し合ってみてください。

そのことをやめたいのであれば、
応援したり、
何らかの支援が必要をすることです。

注意をして、やめるようになっても、
意味がわからなければ、
理解した事にはなりませんし、
また復活することもあるでしょうね。

自分から、やめるべきだと思わないと、
いつまでたっても、
繰り返し始まることでしょう。

私たちがするのは、
注意ではなく、
ご本人に
そのことの意味を理解していただき、
やめるにあたっての支援をすることです。

その時の感情で動くことをしないことです。
感情任せに言葉を発しないことです。
落ち着いて、
手続きを踏んで、
彼らの行動を促しましょう。

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