演出家であり、映画監督だった、
蜷川幸雄(にながわ ゆきお)さん(故人)を
ご存じですか?
私は、彼のことは
あまり知らないのですが、
映像で見る限り、
俳優たちにどなりつけるような
指導の仕方をしていた方
という印象が強いのです。
先日、この蜷川さんの追悼の番組を
見ました。
その時、
確かに怒鳴ってはいるのですが、
何のために怒鳴っているかが、
私には、知的障害事業所にも
当てはまるのではないかと思い、
今回この記事にします。
さて、蜷川さんは、
どういうところで怒っていたのか。
その他大勢の郡集役の人に
怒っていたのです。
映画で言うと、
エキストラのようになるのでしょうか?
たとえば、主役が街中で歩いている場面で、
他にだれもいないと、
物語が取ってつけたようなものに
なってしまいます。
だからこその「その他大勢」です。
やっているご本人の意識が高くないと、
その他大勢だから、
ちょっと手を抜いてもいいかな?
となるような役どころだと思います。
蜷川さんは、
主役の人に怒るのと同じような感じで、
群衆役の人を怒鳴り
演技を細かく指導していたのです。
その時、その場面にいる人は
どんな様子なのか?
どのあたりを見ているのか?
様子がちぐはぐだと、
劇そのものが台無しになると
いわんばかりです。
もしかしたら主役より、
群衆役の方に
力を入れているのではないか
というくらいの
指導でしたね。
これを
障害者支援現場に
あてはめてみましょう。
あなたが、
直接支援職ではなく、
事務や厨房、運転手・用務員といった、
支援上のメインではないと
感じるような職種の場合、
自分はわき役だし、
自分の考えなんか、
意味がないとお思いの
職種の方もいると思うのです。
でも、
この蜷川さんのイメージで言うと、
全ての役者がそろったからこそ、
良い劇ができるわけで、
支援現場もそうなのではないでしょうか?
いらない職種などなく、
必要だからこそ、
あなたが採用されています。
利用者の皆さんも
その職であるあなただからこそ、
心を許して、
関わって下さることもあるのです。
それを、自分なんかと思っていては、
支援現場の役者はそろわないのです。
演劇と違って、
役作りに時間をかけることは
ないかもしれませんし、
その日その日が本番で、
間違うこともあるかもしれませんが、
また明日、利用者を迎えるために、
改善しつつですね。
だからといって、
正規職員に
引け目を持つ必要もありませんし、
自分を低く見積もる必要もありません。
非常勤さんには
非常勤の働き方がありますし、
専門職には
専門職の働き方もあります。
「職員集団」とは、
今いる職種が、
それぞれの持ち味を
存分に発揮していくからこそ、
成り立つのです。
自分の強みを知りましょう。
あなたが役立つ部分を確認しましょう。
ただ単に正規の支援職員だけでは、
成り立たないから分業なのです。
私たちのステージは、
毎日、決まりきったものでは
ありません。
その日その日が、
変わっていくものです。
あなたは、利用者の人が、
その日その日に、
ここに来てよかったと
思って頂けるような
仕事をすることです。
事務職員であれば
事務職員としての仕事があります。
運転手であれば
運転手としてできることをします。
非常勤であれば、非常勤だからこそ、
できることがあるのです。
あなたが、自分の仕事に誇りと
自信をもっていただきたいのです。
あなたがそこにいるから、
支援職員には見せない様子で
わかることも
多々あることでしょう。
職員全員で、
協働していくことです。
そして、自分から、
人と比べて差をつけないことです。
職種や立場が違うのですから
比べられるはずもありませんし、
もちろん、どの職員も
同じ立場でも比べるべきではありません。
比べようがないものを比べるから、
自分の仕事に意味も持てなくなるのでしょう。
さあ、
今までの考え方をやめましょう。
今日から、
蜷川さん流に、
「自分の役どころ」を
もう一度、考え直し、
最高のパフォーマンスで
仕事に向かいましょう!
意見があれば言ってよいのです。
みんなで作り上げることを
してください。
そして、正規支援職員にも申しあげます。
どうしても、
あなた方と比べてしまう
他業種の職員が多くいます。
あなた方が、その人の働きを
利用者の支援に役立てることです。
その職種の人だからこそわかることは、
たくさんあります。
話をしましょう。
お互いにわかりあえるチャンスを
あなたから作りましょう。
「職員集団」とは、
誰を指すのか、
もう一度、
蜷川さん流の役どころを
自分の職員集団で解釈し、
職員一人ひとりが、
自分の職を通して
協働できる
職員集団を作っていきましょう!