障害者虐待:支援と虐待の境目(境界線)



知的障害者・自閉症の人を
支援している人から、
よくある質問の一つです。

この質問は、
何を意図しているのか?
と考えます。

わかったところで、
何がしたいのか?
とも思います。

なぜそう思うのか。

仮に、境目がわかったとして、
あなたが、その境目ぎりぎりまでの行動をして、
その境目まで行ったらやめるという意味なのか。

それとも、
同僚が、
あなたの感覚と違う支援をしていた時に、
その境目まで来たら止めるための
基準のほしさなのか。

どちらなのだろうと思うからです。

良い支援の基準を欲しがるのではなく、
「ここまでは虐待じゃないから
やって良い」という基準を欲しがるというのは
おかしいと思いませんか?

どう考えても、
知的障害や自閉症の人たちを、
支援していることの意味より、
ご自身を擁護するための
言葉にしか聞こえないのです。

ですから、
基準を論議する方向に、
考えをシフトするのではなく、
より良い支援を追及するための
方向にシフトをしてほしいのです。

最近よく私が回答しているのは、
「自分が虐待かな?と思ったら虐待と思ってよい」

そして、
「その行動をYouTubeに流せますか?」
です。

そこを基準にすれば、
イメージがわいてくると思います。

判断能力のある他者が見て、
虐待かどうかを
判断できることが大切だから。

ここで言う判断能力がある他者は、
実は、あなたや同僚や上司ではありません。

第三者的に、あなたの事業所と
関係のない人たちです。

なぜなら、
同じ事業所で働く職員たちは、
同じような観点で自分擁護を始めます。

「この(虐待をした)職員との人間関係が
悪くなったらいやだから、
虐待って言えない」
「私もしているかもしれないから、
虐待って言えない」
「上司がしているから言えない」
などです。

この言葉も何度も聞いてきています。
そのようなことを言っている人であれば、
判断ができるわけでもありません。

ですから、
あなたがした虐待や
あなたの同僚がした虐待は、
あなたにも、
あなたの職場の人にも、
「判断能力がある他者」には、
なりえない可能性があるのです。

あなたが、これは虐待?と思った時点で、
虐待だった考えましょう。
実は、判断はしなくても良いのです。

認定するのは、
虐待防止センターなどだからです。

そういう意味でも、
あなたは、
虐待か、虐待ではないかの基準に
目を向けるのではなく、
利用者にとって支援とは何か?を考えましょう。

くんちゃん呼びを、
人権侵害と言っている人もいますが、
虐待だと言っている人もいるのです。

支援者として、より良き支援を目指す方向に
関心を持って行きませんか?

虐待は特に、
知的障害者、そして、その中でも、
自閉症の行動障害がある人に対して起きています。

そして、身体的虐待が多いのもわかっています。

行動障害がある人が、パニックになったり、
あなたの思うような行動をしていない時に、
その人の行動を何とかしようとしてしまうことで、
良かれと思ってした行動が、
虐待の域に達しています。

まず、彼らがした行動を、
批判的に見る癖がついている人が、
虐待に走りやすいのです。

批判的に見ていると言うことは、
その人の「障害」がわかっておらず、
何を支援したらよいのかも
わかっていない状態です。

非常に危険で、
いつでも虐待になる可能性があるのです。

あなたがまずしなければならないのは、
その人にとって、
何が障害で、どんな支援をすれば、
その障害が軽減されるのかを知ることです。

虐待の境目を気にするのではなく、
その人にとってのより良き支援を
考えることです。

表面に見えていることで行動の
良しあしを決めるのではなく、
その行動がなぜ起きているのかをつかむことです。

ニーズは取っていますか?
個別支援計画は作られていますか?
自閉症の人への支援力は向上させていますか?

その方向性で、支援をしていけば、
虐待だったらどうしようと
迷うことも減っていくはずです。

虐待の境目などと言う
論議で自分擁護する必要もないのです。

守られるべきは、
知的障害・自閉症の人たちです。

論点をすり替えないで、
より良き支援をしていきましょう!

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