知的障害がある人たちが、
支援者に対して、
苦情・意見を言うと言う事は、
あまりありません。
苦情・意見がないわけではないのです。
でも、自分が思っていることを
相手に伝える言葉の使い方が
難しいと人もいます。
意見をまとめるというのは、
けっこう大変なことだそうです。
また、苦情・意見があったとしても、
どのように、
いつ、
誰に言えばいいのかが
わからないこともあります。
たとえ、支援者が、
「何か言いたいことがあったら
言ってくださいね!」
と言ったとしても、
どうやって言えばよいのかや、
どんな言葉で、自分の気持ちを
伝えたらよいのかなど、
「手段」がわからなければ、
言えませんから、言っていないのです。
また、言ったときに、
相手にされなかったり、
取り合ってもらえないというと、
言う気もなくなるでしょうし、
それよりも、
言った時に、
支援者に
怒られたり、
否定されたら、
言えなくなくなると
いうこともあるでしょう。
このような
裏事情があり、
彼らは、苦情・意見を言わないことが、
あたりまえの状態になってしまいます。
さて、このような裏事情が
あるにもかかわらず、
支援者は事実を知らず、
「この人は苦情・意見がない」と
思い込んでいないでしょうか?
言葉があるのだから、
自分から言うだろうと
思っていた人もいるのでは
ないでしょうか?
私たちも、
相手に苦情・意見を言う事は
ためらうこともありますよね?
私たちでさえ、ためらうのですから、
彼らも言うのを
ためらっているかもしれません。
苦情・意見を言えば
苦情・意見として取り上げてもらい
改善方向に動いてほしいのですが、
先に書いたような言いにくさが、
彼らにはありますから、
苦情・意見の言い方を支援してほしいものです。
防災訓練と同じ原理です。
苦情・意見を言うことを
繰り返し体験してみることです。
まず苦情・意見とは、どういうことかも
わかりやすく解説しないといけませんね。
解説と言うことではないのですが、
私がよくやる手は、
「今、職員のやってたこと、おかしいと思わないですか?」
「嫌だったら、嫌って言っていいんだよ。どう思います?」
「うわー、私だったらいやだなあ。○○さんはどうですか?」
「ちょっと考えてることあるんじゃない?言ってみても大丈夫ですよ!」
など、あえて質問してみるとか、自分の意見を引き合いに出して、
考えていただくことです。
いきなり、「苦情があったら言ってみましょう」と伝えても、
難しすぎます。
場を作らないと、
難しいでしょうね。
その前段階としては、
利用者同士の話し合いなどの場も
有効だと思います。
もちろん、他の利用者に対して苦情を
言ってもらうのではなく、
この前やった行事に、
意見がはありますか?
など、意見を言ってよい場を
多く経験することです。
そういう経験を通して、
苦情・意見を言うことになれていき、
また、実際に、
苦情・意見が出た際には、
出してくださったことに
感謝を示していくことですね。
支援者に対しての苦情が出た場合も、
そこで怒ることでも
無視をすることでもありません。
正式に受理して、対処することです。
お返事もきちんと出したいですね。
また、第三者委員やオンブズマンなどを
取り入れている事業所もありますが、
そういう第三者に事業所に来ていただき、
話しを聞いていただくこともよいでしょうし、
相談支援事業所を通して、
意見を出やすくなるような、
仕掛けを作っていただいてもよいと思います。
体験派の彼らです。
体験することで、
苦情・意見が出やすくなります。
体験を繰り返すことで、
虐待や体罰、
ニーズに合わない支援など、
様々な私たちの課題を
発見できる力にもなってほしいと思います。
ぜひ、事業所として、
苦情・意見を言う体験する機会を
プログラムや活動として、
設けていきましょう!