事後と事前の支援



支援は、ご本人の要求によって
するべきものです。
ですが、知的障害がある人の場合、
その要求そのものを
しない人も多くいることで、
支援者は、
ご本人に確認をしない状態で、
支援を開始していることが
多くあります。

その支援が本当に必要なのか、
本当にご本人は、
できないことなのか、
そういう検証をしていない場合が
あるのです。

例えば、
ハンカチで手を拭く。

このことを
どんな工程になっているかを
分析してみるといいと思います。

ポケットから出す。
手を拭く。
水滴がついていないかの確認。
たたむ。
ポケットにしまう。

たとえば、ざっくりと5工程にしましょう。
どこができてどこができなくて、
どこで困っているのか?

また、支援者自身がこだわっているけど、
やらなくていいかもしれないところは
どこか?

もっと楽に一人でできる方法はないか?

など、いろいろな角度で見てみるわけです。

そして、まずは、実際にやってもらうべきです。

支援者ができないと思い込んだり、
きれいに拭けない・きれいに畳めないと思い込み、
その検証をしないままで
ご本人のポケットからハンカチを出し、拭いてあげて、
またポケットにたたんでしまっている可能性もあります。

その工程の中で、
どこに支援が必要かを考えるために、
やっていただくのです。

そして、本当に支援が必要なのか?です。
たとえば、ハンカチは、たたんだほうが良くても、
たたまなくても良いかもしれません。

ハンカチの形状を変えれば、
たたむ部分を減らすなどをして、
支援の度合いが減るかもしれません。

そういう、「視点」を持つことです。

そのなかで、どこを支援していくかを決めます。
ですから、事後に支援を入れるということです。

ご本人の様子を見てから支援を入れるのは、
自立を考えるからです。
状況確認という支援ですね。

そして、そこからは、
事前の支援も重視していくことになります。

それは、支援すべきところがわかった時です。

特に後追いのようになってしまい、
支援すべきところが後回しになることも
多く見受けられるのです。

たとえば、「ハンカチで拭きましょう」と
言葉をかける支援が必要だと決まったとします。
これは、ハンカチを使うシーンの前に言わなければ、
支援とは言えませんよね?

でも、それをいうタイミングのずれから、
パニックにさせてしまうこともあります。

すると、パニックに目が行ってしまい、
「ハンカチで手を拭きましょう」と
声をかけるとパニックになってしまい、
この人の支援は難しい
などと、間違った解釈をしてしまうようです。

そして、本来どこに支援を入れるかより、
「パニックになったらどうすればいいのか?」という
視点に固執する支援者が多いのです。

特に、ご本人が
パニックになった時や
支援者の予測通りではない動きをしているような時や
イライラしている時は、
「後追い支援」をしている可能性が多いです。

なぜ、パニックになっていたり、
予測通りの動きをしなかったり、
イライラしていたりするのかを、
確認できれば、
事前に支援を入れることで、
そういう不安定さはなくなるのです。
この場合は、もう一度どこに支援を入れるのか
確認したいところです。(最初に戻る)

つまり、適切な部分に
適切な支援を入れていない可能性が
高いのです。

そのために、パニックなどになるわけですし、
自立方向には向かわない可能性もあります。

事後と事前。

それは、支援の両輪です。

自分の「支援」は、
今、どの部分に対して
支援しようとしているのかを考え、
様子を知るための「事後」と
自立に向けて、支援するための「事前」を
使い分けてみるといいと思います。

自立度を高めることが、
私たち支援者に求められているのです。

あなたが、自立を阻害することにならないように、
「支援の部分」を、改めて考えてみましょう。

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