支援者自身が「安心の場所」になろう!



知的障害や自閉症の人たちは、
様々な「障害」を抱えている人たちである
という認識のもと、
支援が開始されますが、
その困難を一人で乗り越えることができないために、
支援者を頼ってくることがあるのです。

さて、様々な困難を抱えながら、
来ますので、
どんな支援者かもわからず、
初回の状況は、
支援者側から捉えても、
何を言っているのか、
何を言いたいのか、
何に困っているのかもわからないくらい、
話の脈絡がない人がいます。

何かに怒り、
話している途中からも、
どんどん言っているつじつまが合わなくなったり、
さっき、YESと言ったのに、
次の瞬間にNOになったりもします。

こういう状態でも、
初回面談は、
何かをつかまなければなりませんが、
まさしくこういう状態の人は、
今起きていることの
受け止めができていない状態で、
自分は悪くないとか、
○○のせいだとばかりに、
文句を言っている状態。

「どうしたい?」という話を
しなければならないのは
こちら再度のものの考え方です。
矢継ぎ早に質問しても、
そのことさえ受け止めていただけない
可能性もあります。

まず、こういう人に対して、
私が一番大事と考えているのは、
次回会って下さることです。

次に会わなければ、
今日の初回面談が意味をなしません。

そういう意味での、
次回です。

今日という1日、
会っただけで何時間か話しただけで、
ことが解決するわけもなく、
次回に私にあってくれるという
その人の気持ちを残しておくことです。

もちろん、緊急性が高ければ、
そんな悠長なことは言っていられないかもしれませんが、
ちょっとでも、その余裕があるのであれば、
その人が満足して、
話が充分にでき、
次回(明日でもその日の午後でもOK)に、
会おうかなと思ってくれることです。

ですから、初回は出すものを出し切るだけでも、
効果は充分に感じられるようです。

さて、以前、
私が会ったその人は、
昔私がいた施設の人でした。
急に訪ねてきたその人は、
全く以前のその人とは違い、
脈絡なく、
不安がいっぱいで、
何かに怒っていて、
自分は何も悪いことを
していないと理由をつけて、
相談に来ました。

以前のその人であれば通じる話が、
全く通じないし、
明らかに能力が下回っていました。

引きこもっていた人でしたが、
3か月ほどかけて、
仕事を紹介しようにも、
就職ができず、
就労Bにやっと入れる状態だったのですが、
何も決まらず不安な状態の初日から比べると、
一つ一つ解決していく毎に、
能力が戻ってきた感じがありました。

要するに、
不安というものに、押しつぶされ、
その人が持っている
本来の力が後ろに
隠れたような感じだったのです。

おかげさまで、
時間をかけ、
就労Bから、6か月で就労Aに移り、
今はその職場で、
リーダー的存在になりつつあります。

私自身、その人がいる施設の
職員で入職した時は、
その人も職員と間違うほど、
様々なことができた人でした。
でも、「不安」というのは、
人をここまで変えてしまうのです。

ご本人の能力は、
まさかというほど落ちてしまうのです。

でも、その人が、
また山田の所に来ようと思ったのは事実です。

それは、昔の知り合いということも
ありましたでしょうけど、
そのあとも続けて通ってきたのは、
ここを頼ろうと思い、
やはり、一つ一つ解決方向に
行ったからだと思います。

ここに来れば、
何かが変わる。

ここに来れば、
不安がなくなる。

そういう場所だったからでしょう。

お互いに言い合ったりもしました。
でも、明らかに改善したのが、
安心方向に導くものだったのでしょう。

この方の場合は、たまたま知り合いでしたが、
そのほかにもたくさんの方がここに訪れます。

だから、初回は、大事だと思っています。

人の印象は、
初回でいろいろ決められてしまうことが
ありますからね。

嫌な人と思われては、
元も子もありません。

様々な不安や課題を解決できるのは、
やはり私たち次第です。

初回面談をした後にも、
この人の所に行けば、
安心だと思って頂ける、
私たち自身が「安心の場所」になることで、
解決は早くなるでしょう。