毎月、意思決定支援のアドバイザーとして
津久井やまゆり園に伺うことを続けています。
職員たちと、様々なテーマに沿って、
ご自身の意見を伺ったり、
時に迷いや不安を話される職員もいます。
さて、先日、ある方から「報道を見る限り、
あの施設は良くない方の施設と思える」と言われました。
それはそうだと思います。
知らないってそういうことです。
そう見えるTV報道番組があったのを私も知っています。
声を大にして言いたいのは、
この施設や法人は、
神奈川県内でも人権意識が高い法人だということ。
何度も、何度も言わせていただきます。
もちろん、できていないところもあると思います。
かといって、それは、どこの施設でも
良いところと悪いところが混在する、
そういうレベルのものです。
でも、元職員が、あんな事件を起こしてしまった。
だから批判が集まるのです。
でも、多くの人は考えたことがないかもしれませんが、
もし彼が、
私やあなたの施設にいたとしても、
きっと同じことをしただろうと思うのです。
つまり、「どこでも起きただろうと
思える事件だった」ということです。
津久井やまゆり園だから、
特別に起きたわけでもないのです。
ですから、
この施設に何があったのかを
やっぱり思い出してほしいのです。
いきなり事件があり、
訳もわからない中、
自分が慣れ親しんでいる住まいから、
引っ越しを余儀なくされた利用者の皆さんです。
「事件」「引っ越し」の出来事だけでも、
利用者の心の不安定に発展しても
おかしくはありません。
職員も同じです。
元同僚がまさかの事件を起こし、
利用者を必死で守りつつ、
亡くなったお子さんを持つご家族にも寄り添いつつ、
マスコミ等の対応をし続けたと思います。
自分の心を後回しにしている職員だって、
いたのです。
そんな時に、いきなり外野から、
どんと後ろから押されるように言われた
「地域移行」「意思決定」といったワード。
私なら、
利用者の「別な住まい」を
「なぜ、今この時に考えなければならないのか?」
「そんなの後回しでしょ?」
「心の安定(命)が先でしょ?」
と言うでしょうね。
「この際だからと、
(ついでに)地域移行進めちゃえ!」
という人の乱暴さは、
利用者を無視しているとさえ思うのです。
利用者の人は、事件や引っ越しなどに
何かを感じ、
今も生活をしているのです。
もともと人権意識の高い支援をしていて、
それを知らない人たちから、
さらにもっとと言われ、
ご本人も職員自身も利用者のご家族も
事件の後遺症がまだある時に、
周り(外野)がなんで騒ぐのか?とも思い、
当時ブログにも書きました。
(ちなみに、このころはまだ
津久井やまゆり園には行っていません)
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2017年5月30日記事
「2017年5月ニュースレター:津久井やまゆり園の建て替えの件に思うこと」
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職員は、色々なことが起きている中で、
迷いながらも本当に丁寧に、
今、意思決定支援をしていると思います。
もともと意思決定支援をしていなかったわけではないのです。
ニュース等だけで感じたことで、
津久井やまゆり園を批判的な目で見るのは、
おかしなことではないでしょうか?
本来であれば、
津久井やまゆり園の職員には、ぜひ、
意思決定支援をすることで得られたことを
もっと自信をもって全国に伝えてほしいと思うのですが、
メディアやインターネット等を通じて知りえた情報から、
批判的な部分が目につくことで、自信を無くし、
後ろ向きになってしまわないだろうかと心配になります。
私が、津久井やまゆり園や
かながわ共同会を応援するスタンスは変わらないですし、
事件がある前から、
人権意識については、
学ぶべきことがある法人だと感じていましたし、
もし、この法人が、今、足踏み状態だとしても、
誰も批判することはできないはずです。
自分のところで、
事件があったらどうなのだろう?
意思決定支援ができるのか?と考えてほしいし、
今踏ん張っている職員の応援団に回ることが、
そこにいる利用者たちの幸せや、
今以上の意思の表出にもつながると思わないか?
と、問いたいです。
事件の余波は、まだまだあるのです。
職員たちは、事件後も
淡々と利用者に寄り添い、
彼らやご家族や同僚の心の安定のためにと前を向き、
スキルを向上させつつ、
意思決定支援を進めていると思います。
だからこそ、自信をもって、
楽しく仕事をしてほしいと願います。
まず、同じ支援者なら、
あなたのところも意思決定支援をはじめてほしいし、
私といっしょに、
津久井やまゆり園の応援団になってほしいと思います。