コンサルティング12の視点



施設事業所にコンサルに行くときは、
支援やチーム作りが視点となることが多くあります。

そこで、コンサルに行くときの私の視点と提案点を
書き記しておきましょう。
コンサルを使えない場合も多々あるでしょうから、
こんな視点で事業所を見ていくと、
事業所の改善にもなるのではないでしょうか?


1.利用者主体/困っている人は誰か
職員からの相談の多くは、
「職員が困っています」という表現。

利用者の表面的な動きなどで困っているために、
何とか利用者の今やっている動きを
改善したいという視点になります。
でも、利用者の人がそういう動きになるのは、

利用者が困っているからです。

誰が困っているのか、
この問題の主人公にするべきは利用者であり、
職員の支援方法や関わり方を
変えることを再確認します。

2.利用者の強み/役割
利用者のできることや
こだわっていることに目を向けます。
こだわっていることは、役割になります。
例えば、職員が湯呑を置いた後の位置の調整などに
こだわっているようであれば、
その人には、湯呑を置く役割が適しています。
他の利用者がしていることを
監視しているような人もいます。
その様子を活かした役割があります。
そこに問題を感じるのではなく、
その人の強みに気づきましょう。

3.作品か商品か
何かを作る時に、売るのか売らないのか?
作ったもののその後は、どうなっていくのか?
そのあたりを考えずに
何かを作らせている施設が多いので、
一生懸命作ったものに対しても、
そのあとの対処ができず、
山積みでほこりがかぶっていることも多々あります。
単なる時間つぶしの活動ですか?
利用者の人が作ったものが商品であれば、
売れるような支援をするのも職員です。
ただたださせているのではなく、
作ったものがそのあとに、
どんな行き先になるのかを
イメージしてください。
利用者の人は、
作った後の姿を想像しにくい人が多いので、
意見など言ってこないのですから、
自分の仕事が終わったと
思い込まないようにしてください。

4.声かけか、言葉かけか
声は単に音。
でも、意味がある言葉をかけや
説明責任にも目を向けることです。
あなたが何のために言葉を発し、
利用者の人に伝えていこうとするのか。
そうすることで、その利用者がどんなことを考えたり、
暮らしやすくなるのか。
という視点も大切なのではないでしょうか?
意味ある言葉を伝えていくことをしていきましょう。

5.できることの中でやる/自立
福祉的支援の目的は自立。
自立をそぐことのないようにすることです。
利用者の人も自分たち支援者も、
できることの中でしていくことになります。
できない中でやると辛さが増したり、
自立度が低くなったりします。
逆に、できることをさせないことで
障害が重くなります。
支援というのは、
できないところに目を向け、
できるための工夫をしたり、
できないことはSOSを言えたりすることにつなげます。
また、利用者ができることを職員がやっているのは、
職員の仕事を増やすことになります。
支援をするべきことはたくさんあるのですから、
利用者の人ができることまでやってしまうのは、
おせっかいです。
心配しすぎたり、
自分の常識にあてはめた人にしようとすると
おせっかいは増します。
ひとりでできること
ひとりでできる時間をもつということも、
イメージしていきましょう。

6.事前に支援する
事が起きてから対処するように関わるのではなく、
「障害」がなくなるように
事前準備に目を向ける。それも支援です。
そこを間違っていると、
常に問題や課題が起きてからの対処となり、
また、問題や課題は出てきます。
その人に、
自分がどんなことをすれば、
生活がしやすいか?を考え、
事前に手立てをすること。
これが、事前にするべき支援です。
常に事後となっている場合、
その利用者の人は苦痛を感じながら「障害」を通過し、
その人にとっての問題が発生してから、
職員による「対処」となります。
「障害」が何か?を支援者にはわかっている場合、
それを取り除いたり、
通過の仕方をご本人と確認することで
「障害がない状態」や
「障害が軽減されている状態」を
作り出すというイメージです。

7.知らないことはできない
これは職員チームも家族もご本人も誰でもそうです。
できていないその人に対し、
「なんでできないのだ?」と
批判をしないことです。
知らなければできません。
知ればできることはたくさんあります。
あなたも知らないことはたくさんあります。
知れば、できることにつながることも
たくさんあります。
知らなくてやっていない人に対して
批判するのではなく、
あなたが知っていることを
あなたから知らせ伝えていくことが
あなたの役割ではないでしょうか?

8.しゃべりすぎない
たとえば、毎日、
「今日の給食はおいしいですか?」と
聞く職員にそばにいられたら、
それは、環境破壊なのです。
話かけることが支援だと
勘違いしている支援者が多すぎます。
また、支援者側から質問をして、
利用者の人が考えているにもかかわらず、
その時間が待てなくて、
話しかけている支援者も多くいます。
その人が考えている時間は、あなたが待つ時間。
自分は話し始めたら、
相手はどういう状態になるのか、
想像してみることです。
相手があなたのためにと、答えている状態は、
あなたが主人公です。
相手が主人公になるよう、
むやみに話しかけすぎないことです。
相手から話してくることを待つ。
そういう関わりの割合を増やしてほしいものです。

9.関わりすぎない/関われば良いわけではない
関わることが支援だと勘違いしている人も多いです。
関わればできることは減ります。
できないことが増えれば障害が重くなります。
距離を置いて見守り、SOSが出たら間髪入れず支援に入る。
そういうことが安心を作り出す結果につながります。
心地よい生活って、どんな生活でしょうか?
障害がある人は、支援者がそばにいることが
心地よいはずだと思い込まないことです。
そばに支援者がいない方が、心地よい生活なのです。
支援者の露出を減らし、風景になりましょう。

10.意見に、新人もベテランもない
新人だからと言って、
ベテランの意見に賛成している時点で、
その人は、利用者を見ていないです。
厳しいようですが、自分中心です。
自分目線で、自分が他の人に干されないことを
祈っているだけです。
そうさせているベテランの人も、
もちろん問題なのです。
職員同士の意見が違うことは当たり前です。
そして、ベテランの意見がよいわけではありません。
自分たちが、何のために意見を言うのかを
チームとして決めておきましょう。
そうすれば、その時、誰がどんな意見をいったとしても、
利用者のための意見として考えることができますし、
利用者のための意見として同等であると、
認識が持てることでしょう。
組織を改革したい場合なども意見が出ます。
そこも同等ですし、
皆さんが納得する形にすることが、
自分たちが展開したい支援の形にも
つながることになるでしょう。

11.職員が、やっていることで不要なことは省く
改善をしようとするときに、さらにさらにと仕事を増やしていないでしょうか?
支援もそうです。もっともっとときりがない。
でも、よく考えてみると、
福祉の最低ライン(法律)があり、
そこからどれだけ多くのことをやり過ぎているのか?
また、利用者ができいることをおせっかいでやって、
職員の関わりという無駄を
どれだけ多くやり過ぎているのか?
新しいことをするなら、何かを省くことです。
さもないと支援者が壊れていきます。
人材不足が叫ばれる今、自分たちの仕事の良しあしを決めていかなければ、
一緒に働こうとする人は増えていかないでしょう。
残業ありき
ボランティア精神
やる気がないとだめ
愛でカバー
そういう旧態依然の考え方では
これから先細りではないかと
危惧していただきたいものです。

12.自分たちは答えを出したいのか、答えが欲しいのか?
コンサルの一番大切なところはここかもしれません。
自分たちで考えようとしている事業所はぐんと伸びます。
でも、答えを欲しがっている事業所は、
残念ながら、
次の問題が出てきたときに、
対処ができる力にならず、
また、頼って答を求めます。
きついかもしれませんが、
私は自分たちで答えが出せる事業所に
育つことを望んでいます。
間違ってもよいのです。
それを認め、
また考えようとすることです。
利用者のためにと
前に進もうとする事業所は、
長くお付き合いをして応援したい事業所です。
つまりは、利用者の人たちからも
応援してもらえる事業所だと考えます。
***
以上12の視点を書きました。
もちろんこれ以外の視点も多々あります。
ここに書いたのはどこの施設・事業所でも
考えることが多い視点です。
余談ですが、実は、内部で悶々としている場合は
外部のコンサルなどを使うことも
効果があることがあります。
日本国内もさまさまなコンサルが増えてきています。
長い時間職員たちだけで答えを出せないで
利用者の人に迷惑をかけているようでしたら、
外部コンサルを1回でも使ってみることも
よいのではないでしょうか?
お近くのコンサルに問い合わせするだけでも、
価値はあると思いますよ!