車いす利用者のための避難訓練



高齢者の施設にお勤めの人から、
「防災訓練で、
車いすの人を階段で移動することができないので、
教えてくださいと職員に言われた」と聞き、
私自身が、一瞬意味がわかりませんでした。

階段を移動するなどと言うことは、
あたりまえのようにできるつもりでいたのですが、
なぜできないかというと、
高齢者施設は基本バリアフリーなので、
段差がない。
だそうです。

たしかに、
最近は、街の中も乗り物も
どんどんバリアフリーになり、
段差を使うという機会が、
なくなっている関係上、
万が一、エレベーターなどが動かない状態で、
車いすに乗っている人をどこかの階に
移動しなければならない場合、
まず、何人で、車いすのどこを持って、
どのように移動すればよいのか、
知らない人も多いでしょうし、
これは体験しておく必要がありますね。

最近は、
地震の時だけではなく、
集中豪雨で、水かさが上がってきた場合は、
1階から2階に移動ということもあるでしょうから、
どちらも学んでいかないとと思います。

夜中、夜勤なども想定したら、
ひとりでできることも必要かもしれないと思います。

その場合は、もちろん、車いすと
ご本人を別々になります。
先に車いすだけ移動して、
ご本人は、背負うほうがよいですが、
障害状況によっては、ふたりで移動でしょう。
(毛布でくるませて移動ということもあります)

車いすは持ち上げず、
開いた状態で、床面に沿いながら、
上げ下げすると楽です。

でも、まずは、
4人で車いすごと移動することを学びましょう。
この4人でやることが、本来、一番安全でしょうね。

やはり、訓練が必要であるなら、
職員が新人で入ってきたときに、
まず、車いすの押し方の基本から教えるべきです。

もちろん、知的障害の施設でもするべきでしょう。

知らないと、
洋服を巻き込んだり、
姿勢が倒れてしまったりしますし、
押し方によっては、
スピードが早すぎたり、
車いすに手をかける際の上下の浮き沈みなど、
ご本人の苦痛にもなりかねません。

どんな点に注意すべきかは、
自分が乗ってみて、
誰かに押してもらう経験をしたほうがわかります。

体験して気づくこと。
そこを大事にしましょう。

そして、防災上の訓練も、
まずは、空の車いすで、
4人で練習をしてから、
職員の一人に座ってもらって、
再度やってみてください。

揺れを少なくし、
ご本人には安心感を持っていただきつつ、
短時間で自分たちが疲れないように、
そして、自分たちも腰など痛めないよう、
声を掛け合いながら、
バランスよく移動する訓練です。

乗った側からも、どんなところがこわかったかなど、
感想を言ってもらうようにしてください。

災害時に初めての体験することならないよう、
必須の新人職員研修として、
入れてみてはいかがでしょうか?

災害はいつ来るかわかりませんので、
上段から下段に降りることと、
下段から上段に上がることと、
両方、経験しておきましょう!

何でも経験しておくことは、
後々の自分たちの働きに役立ちます。

特に災害時ですから、
通常の4人での移動ではなく、
別な方法も学ぶべきです。

それは、けが人を移動させるときの
代用で大丈夫ですから、
インターネットなどでも見てから、
実際やってみましょう。
 
命を守るために、
できることは
今のうちに準備をしておきましょう!