考えるためのツールのしての事例を出そう



知的障害がある人の自己選択を考えた時、
どのくらいの物や事柄から、
選べるのかは、
人によって全く違うのですが、
最初、慣れていない場合は、
2つから始めることをお勧めします。

そして、2つから選べるようになったら
3つ・4つと増やしてみます。

さらに、選択肢の中に
「その他」を入れて
選択肢の幅を広げたり、
柔軟なイメージができるようにしていきます。

さて、
私たち支援者が、
彼らの世界を広げたいと思う時に、
「なにがいい?」
「何がやりたい」
「決めていいよ」
「好きにしていいよ」
などと言うことが、
かえって、
選択できないことにも
なることがあります。

もともと選択をするとか、
欲しいものを選ぶとか、
そういうことを考えることに
障害がある人もいますので、
あえて「自己選択」という支援が必要なのです。

いろいろな選択肢を
どのように
どれくらい
提供するかが、
支援者の支援力によるものです。

その人に合わせて、
その人のわかりやすさを添えて、
段階を経て、
選ぶことをしていただきたいところです。

そして、それと似ているのが、
事例や情報の提供という部分です。

選択というものではないのですが、
その人が考えるためのツールとして、
様々な言葉や事例を出していくことがあります。

例えば、
「今思っていることは、どんなことなのだろう?」を
説明していただくために、
「事例」を出していくことがあります。

例えば、

「今の気持ちは、
つらい?
悲しい?
嫌だ?
困っている?
問題ない?
楽しい?
怒っている?
のどれだろうね?」
と気持ちの確認をするとき。

「お腹はどんなふうに痛いのかな?
ちくちく?
しくしく?
きりきり?
ぐーっと?
ぐるぐる?」
と状況確認をするとき。

「何でここで転んだと思う?
よそ見をしていた?
考え事をしていた?
靴の大きさが合わなかった?
道に何かがあった?」
と、原因を探って、対策を考えるとき。

今の状況ってどうだろう?
将来予測されることって、何があるだろう?

そういった、
イメージを持っていただき、
表現につなげるための
事例や言葉と考えてください。

この事例を出していかないと、
今の自分の状況や感情を表現できないために
「わからない」といって、
話を終わらせようとする傾向が
あるよう見受けられます。

確かにわかりにくいのです。

自分が思っていることや感情を
表現することに慣れていないですからね。

彼ら自身も言葉が多い訳ではありませんので、
表現ができずに
我慢していることも多いのでしょう。

でも、支援者から、
例を出されれば、
あー、そんな感じとか、
それに近いなとか、
イメージができる人であれば、
有効な「事例」になるのです。

そのためには、
あなた自身が、
彼らからの
話や訴えに、
それはこういうこと?
という具体例を
思いつけることが
その後のご本人のイメージつきやすくもなりますし、
ご本人が具体的にイメージしたことを話してくださることで、
支援者がするべき支援がわかるというものにもなります。

言葉のキャッチボールをしつつ、
お互いにわかりあえることが、
次につながりますので、
ぜひ、あなた自身も
より多くの言葉を持てるようにしてください。

もし、言葉が少ないかもしれないなとお思いの場合は、
言葉は、いろいろな機会に練習で、増やすことができますし、
チームの中で、どんな表現があるだろうかとか
どんな解釈があるだろうかと
話し合ってみてはいかがでしょう?

そして、知的障害がある人の支援の最中に
とっさな時でもあなた自身がイメージをし、
いろいろ思い浮かべられ、
言葉にしていくスキルを
持てるようにしていきましょう。

さらに、彼らの小さな部分で
考えている世界を広げることにも
役立てていきましょう!