立ち位置



知的障害者支援事業所で、
利用者の皆さんに
安全に、かつ、安心して施設で
過ごしていただくためには、
どんなことに困っているのかや
どこに支援が必要なのかなどを、
いち早く気づいていく必要があります。

利用者と職員の比率は、
1:1ではないため、
たとえば、20人の利用者を3人の職員で、など、
集団を数名の職員で把握していくことになります。

さて、みなさんは、全体を把握するために
どの位置にいるようにしていますか?

これを私は「立ち位置」と言っています。

常に活動の部屋に
全員の職員がいるわけではないですよね?

だれかが、利用者のトイレ介助で
抜けるかもしれないですし、
自分一人になってしまったということも、
あり得ることです。

ですから、職員全員がそろった時と、
自分が一人だけになってしまった時と、
同じではないのです。

職員の数や支援の内容によって、
立ち位置が変わってきますが、
まず、ひとりの時の注意点を書いていきたいと思います。

利用者の人が自分の背中方面に
多くいないようにしてください。
つまり、自分が見える範囲に
利用者の方がいるようにすることです。
そのためには、
どこかの場所に、ご自身が動いてください。
全体が把握できる場所があると思います。

これは実際自分で動いて、
あちらこちらに立って見てみましょう。

もし死角ができるようでしたら、
最初からひとり支援があることを想定して、
レイアウトを変更したほうが、
よいかもしれません。

もちろん、自閉症の利用者の人で、
あえて、パーテーションの向こうに
位置したほうがよい人もいますが、
そういう人は見なくてよいと
いうことではありません。

特に自分だけの場合は、
全体を見ることを基本としますので、
利用者ひとりの人だけに集中しての支援はできません。

その人の支援にかかりきりの状態は、
他の利用者のことが
把握できにくい状態になるからです。

できるだけ避けるべきなので、
そのあたりを頭に入れて、
どんな活動をしていただくかも考えましょう。

このように、全体を見る習慣をつけることです。

そして、やはり、利用者の人が
一人でできることは、
こういう点も含めて、
常に考えておくべきことなのです。

次に、複数で配置されている場合です。

基本的には、
職員がひとりでも複数でも、
全体が一番見えるようなところに
自分自身を位置づけましょう。
できるだけ、死角は作らないでください。
自分の背中の方に、
利用者の皆さんがいるようなときは、
常々気に掛けましょう。

そして、他の職員といる時も、
役割分担をするようにしてください。
同じ空間を複数で見るのではなく、
見る部分を変えることで、
死角を減らします。

平均的な目配りをしましょう。
パーテーションなどの向こうに
利用者の人がいる場合は、
確認をしに行くために自分から動きましょう。

ただし、パーテーションを利用している利用者の人には、
必要以上にあなたの姿を
感じ取られないようにした方が良い場合もあります。

少し離れたところや斜め後ろから確認をしましょう。

立ち位置をつかむことは、
支援のスキルでもあると思うくらい
大事なことです。
利用者の皆さんがそれぞれに、
安心して安全に活動して頂けるよう、
職員がひとりになった時も含め、
ひとりで見ることに
不安にならないような支援の視点も持ちましょう。