「絆創膏は、いりません!」
わざわざ言いに来たその人。
これは何かあると思って、
身体を見たら、けがをしていたことがあります。
この人は「表現」をしてくれたわけです。
このような表現をしてくれた場合、
支援者が、何を考えるかが重要で、
この「表現」の裏には、
どんな表現でも、
「何かがあるな?」と思えることが、
必要な支援が開始できる入り口なのです。
「表現」の中には、パニックも入りますが、
色々な表現があります。
そして、声なき声もあります。
私たちが、
一番に気づかなければならないのは、
支援者の名前を呼んできたときや
支援者を見ているとき。
そして、一人で、
何やらやろうとして、
いつもと違う動きを
しているときなどにも、
何かあるな?を感じてください。
彼らが「困ったよー」とは、
言ってきませんね。
何かサインは出しますが、
そこに私たちが気づけないと、
彼らは、それ以上のアクションはしてきません。
そこで、彼らの「何か」に寄り添うために
こちらから聞いていくわけです。
「何か困っていますか?」
「手伝ってほしいことがありますか?」
「ひとりでやろうとしているのですか?」
「わからないことがありますか?」
いろいろと質問をしていくと、
今以上に表現をしてくださることにつながります。
彼らにとっては、困っていないこともありますので、
「何か嫌だったことがありましたか?」
「あれ?って思ったことがありますか?」
「他の人のことで気になることはありますか?」
「あの人のしていることがおかしいと思ったことがありますか?」
などの、相手を気遣った言い方も
引き出せる一言になります。
そして、「何でもない」と言うこともありますね。
この「何でもない」が曲者で、
「何でもない」という言葉に反応しない支援者が
多いと思うのです。
「何でもないのか」
「支援がいらないな」
こう思ってしまうと支援が始まりません。
彼らは、遠慮をすることができますし、
支援者を困らせてはだめだと思ったり、
もしかしたら、
声をかけると支援者に怒られると
思っているかもしれません。
ですから、
さらに、私たちから
「話して大丈夫なんだ」ということを
伝えていかなければ、
彼らの本音は出てこないでしょう。
また、
支援者によっては、何も言わないことから、
問題行動と捉えてしまい、
神髄に気づけず、
「何でもないなら声をかけてくるな!」
と声を荒げる支援者もいますね。
まずは、支援を始めましょう。
支援をしなくてよいかもしれませんが、
いつでも支援ができるようにしましょう。
そして、もう一つ大切なことは、
彼らのSOSが、
一般の人にもわかるようにすることです。
例えば、
最初に書いた人のように
話したところで、
話された側がピンとこなければ、
やり過ごしてしまうような言葉ですが、
「けがをしたので、ばんそうこうを貼ってください」
といわれれば、
理解ができますね。
ですから、
支援者だけが、わかればOKなのではなく、
多くの人がわかるような言葉で
相手に伝えたり、
自分の気持ちを伝えたり
しようとする人になってほしいと思うのです。
どんな言葉にすれば、
他者が気づくかを説明して、
そのような言葉が使えるようにしてください。
「手伝ってください」
「○○が困っています」
など、言えるようになるとよいですね。
ですから、
例えば、支援者の名前を呼ばれただけで、
何に困っているか、気づけるような時でも、
最後までそのSOSを
言葉にしてもらうことも大切です。
これは、SOSが解消されてからでよいので、
最初の例であれば、
「けがしたので治療してください」
と言えることにもチャレンジしていただきましょう。
もちろん、言葉がない人は、
けがした手を差し出したりする表現で
大丈夫なので、
相手へわかるようにSOSが表現できることを
目指したいものです。
言葉の裏に隠された言葉を
見つけ出し、支援をする。
言葉が誰にでもわかるような言葉に
替えられるよう支援する。
まずは、支援の扉を開けられるよう
何があるかな?と考えるところから始めましょう。