知的障害がある人のできないことの中に、
加減の難しさがあります。
これは、経験のなさともいえるのですが、
いろいろなことへの力の入れ具合が、
難しいようです。
例えば、
声の大きさ
筆圧
走り込み
食べ物の量
字の大きさ
がんばる度合い
相手との距離
あいさつを何度も繰り返す
イメージできますよね?
小さなことなのですが、
このことで、
支援者に、
「そうじゃないよ」と、
否定されるようなことも多く、
その都度、修正が入るような部分です。
例えば、声であれば、
「もっと小さい声でしゃべって」といわれがち。
「うるさいよ」とか、
「だまって」とか、
いろいろな指示が来ますね。
人との距離感であれば、
恋人でもないのに、くっつきすぎたり、
もう少し離れたほうがいいと話しても
どれくらいなのかがよくわからなかったり、
お互いはなれていればよいのに、
くっつぎすぎて、けんかになる人もいます。
食べ物の量にしてみると、
どこまでも底なしのような食べ方をした後に
嘔吐しまう人もいたり。
様々なところで、
加減ができないことが起きています。
このことで、ご本人が困る場合もありますし、
周りの人が困る場合もあり、
理解していただくときは、
マナーなども視点に置きながら、
伝えていくことになるかもしれません。
この加減。
具体的な量が、
わかりやすくなれば、
もっと多くとか、
もっと少なくが、
できるわけです。
では、具体的に、
考えていくと、
まずは、今の力の加減を数値化して、
例えば、
「今よりも大きく」
「今より少なく」など、
今の数値を基準にします。
例えば、今の加減が10だとしたら、
「今、10くらいなので、8にしてください」
とか、加減のイメージをしたり、
力を入れすぎて、
字を書いているなら、
ペンの持ち方を一緒にやることで、
力を向けるもち方・書き方ができたり、
具体的に想像しやすいように、
彼らに聞きながら進めると
わかりやすいようです。
注意しても意味が解りませんし、
してよいことを伝えることが
相手にはわかりやすいのです。
人によっては、
「軽く」
「小さく」
「ゆっくり」
「もっと」
などのあいまいな言葉でもわかる人もいますので、
いろいろな言葉を使って、
ご本人に通じる言葉を確認しましょう。
食べ物なら、
数を決める理由を話して、
何個までと決めてから
食事を始めたり、
場の状況を説明してから、
行動を促したり、
彼らがやったあとばかりに、そのことを
批判ばかりするようなことは避けます。
指針がないために、
自分で考えた加減が、
批判されやすい彼らですが、
事前に「これくらい」をという加減を
確認できるものもありますし、
やってみてから、変更もできることもあるので、
最初はていねいに取り組む支援をしていきたいところです。
見落とされがちな、
加減。
適量というあいまいな部分を
わかりやすく、
納得しやすく、
自分にも優しく、
他に悪い影響がないよう、
支援として関わっていきましょう!